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無双の短編
見 【島左近】
戦国

この下剋上の世の中では
己の力もさることながら
主の力も見極めていかななければならない。

力のない者、見極められない者は
戦乱の業火に飲み込まれ、
そして滅び行く。

力のないものに仕えるほど
俺はそこまでうつけじゃないってね。


主を見極めるために、必然と
人間観察を行うわけで。
人間観察を行うと
その人の裏が見えてくるんだが、
これがまた面白い。


昔の殿―筒井順慶公―は
正直で優しく、一生懸命で
俺から見ていても非常に微笑ましかった。

だから亡くなられたときの
次の後継者には、仕えたくなかった。
己のことしか考えてないお人でしたから。
それはあからさまに分かるものでして。
その証拠にほら、俺以外にも
多くの家臣が離れていったんです。

今の殿―石田三成公―は
ひねくれていて冷徹、そのくせ切れ者という
俺から見ていてもなんともまあ大変なお方で。

でも、勘違いしないで欲しいのは
己のために動いていないというところですかね。
意外と分かってない人が多くて
俺としては少しばかり残念なわけです。
不器用だから勘違いされやすいんですが
殿は、優しいお方ですよ。

…多分…

あくまでも人間観察ですから
断言は出来ません。

いくら俺でもね。

でも考えてみてください。
三成公は、豊臣家、いや、秀吉様のために
尽力してますからね。


二人の殿は傍から見れば正反対らしいですが
俺から見れば共通点が多い。
それが、俺がお二方に仕えようと思った
所以(ゆえん)かもしれません。
あとは両方共、俺とはすごく年の差があるんですが
なんというか、若さが可愛いんですよ。

ま、今の殿は
本当に今だからそう言えるわけで。



出会いは最悪でしたよ。
俺、『使える駒』でしたから。



「…口は悪いが、噂以上の切れ者のようだ。
ま、仕えたいとは思えないがね。」

そう、仕えたいとは思っていなかった。
それが今じゃあ

「この左近が殿を裏切るとお思いか?」



人は変わるものでして、なんて思ってみたり、な訳です。

恐ろしいですね、人とは。


でもまあ、はっきりと言えることは
二度も仕えるべき殿を見つけて、
…いや、見つけられたのか?…
俺は幸せ者ってこと、
ですかね?












あとがき

さこみつを語らずして
無双の何を語るというのですか!?
という感じです。
この話も嫌いではないのですが
今後UP予定の三成の話のほうが…。
でもそれは、左近一回も出てこない…。
だめじゃん、流雨!!!



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