小説(短編&ドール小説)
バレンタインデー2016(アルテミスとカリス)
全国がチョコの匂いに包まれる有名なあのイベントが近いある日。
「ねえ、アルテミスは誰かにチョコあげる予定とかあるのぉ?」
チューハイの缶を片手にスルメをもぐもぐとしていたカリスカーラが思いついたように聞く。
「え?何急に…??」
唐突な問いに首を傾げるアルテミス。
「いやさぁ、バレンタインデー近いっしょ?」
「まあ、そうねぇ」
「だから誰かにあげるのかなって」
「ん。別にいないわよ?気になる人もいないしね。あ、でもお世話になった人達には送るかも」
「あー、なるほど。友チョコみたいなヤツ?」
「そんなものかしら。別に女性から男性にチョコを送るだけの日でもないもの、本来は。あまりこだわる必要はないと思うのよね」
アルテミスはスパーリングワインの薫りを楽しみつつ口に含む。
最近新しく何本か買った中の1本で、さっきワインテラーから出したばかりだ。
「私もあんたをお世話してる訳だからチョコ貰えるって事ね!高級なのよろしく」
「お世話って…お互い様な気もするけど…。まあ、いいわ。」
偉そうに言う半居候の言葉に軽く笑いながら、
「チョコは期待してていいわよ。いい店を知ってるから」
「あ!本当に?!それは楽しみ♪」
缶チューハイを1本開け、次の缶チューハイを取りに冷蔵庫に向かうカリスカーラ。
鼻歌交じりで嬉しそうである。
「単純ねぇ…」
それを片方だけ頬杖を付きながら眺めるアルテミス。
でもどこか彼女も楽しそうである。
end
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