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小説(短編&ドール小説)
犬猿の仲?

 いつものように薔薇の世話を済まし、屋敷へと戻る男の名前は閃銀(せんろう)。
 黒髪に眼鏡、常にバトラー服を着用しているこの屋敷の執事だ。
「よぉ」
 リビングに入ると高級そうでありながらさりげなく趣味の良いソファーに我が物顔で座り、声を掛けて来たのが、この屋敷の居候の一人である男アンセルム。
 ダークブルーに赤メッシュの入った髪に、服を着崩したどこか野性を感じさせる風貌を持つ。
「‥‥おはようございます」
「何だその間は。あからさまだな」
 フンとアンセルムは不機嫌そうに閃銀を見る。
「まぁ、良いさ。閃銀、紅茶を入れてくれ」
「お断りします。飲みたいなら自分でお入れ下さい」
 顔色一つ変えずにそれをあっさり拒否する。
「‥‥言うと思った。毎日毎日同じ返しをしやがって」
「それなら私(わたし)も言わせて貰いますが、それが分かっているなら毎日言わないで頂けますか? 頭の悪い犬風情が」
 無表情のまま明らかにアンセルムを卑下する閃銀の言葉に、アンセルムは特に怒りを見せずニヤリと笑い、
「テメェも大概だよな。白百合がいなければ本性を出しやがって」
 ソファーから立ち上がり数cmしか違わない身長の閃銀と向かい合う。
「貴方も同様ですがね」
 口角は上がっているが眼鏡の奥の眼には温度は微塵もない。
 確実に断られると知りながら毎日飽きずに朝の紅茶を頼むアンセルムと、毎日同じ反応を返す閃銀。
 ある意味で言えば、これはこれで二人のコミュニケーションなのかもしれない…?


END



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あきゅろす。
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