小説(中編) ―2― けれど、俺は、 君が決してそれを望みはしないと判っていても、俺は魂を狩り続ける。 この世界の魂すべてを狩り尽くそうとも構いはしない。 苦痛から救ってあげる事が本当は何よりも正しいと。 けれど、君の魂は闇に蝕まれて、少し力を入れただけでも粉々になってしまうほど脆弱なもの。 死を選べば、そこで何よかもが終わる。 存在していた確かな証も残さずに、肉体も骨も魂も消滅する定め。 何一つ残らない。 共に命を断ち、安らかな眠りにつく事さえ出来ない。 二人で永遠を迎えることなど、それこそ永遠にない。 だから怖い。 君を離せば、二度と戻りはしないと知るからこそ。 俺は恐れ、君の苦しみを長引かせている。 本当に罪深いのは、君ではなく俺。 君のためならどんなことでも厭わない、この俺なのだと。 愛しい、愛しい、ただ一人の俺の天使。 こんなにも愛しているのに…… 誰よりも苦しめているのは俺だった。 [*前へ][次へ#] |