詩集
復讐の先
漆黒の衣に包まれた穢れなき器
陶器の肌は冷たい炎に焼かれ
ビロードの海に沈む
痛みも感じず、虚ろな澱む意識
救われる事さえ望まずに
引き摺り込まれる、闇の底
不浄の愛と
純潔の罪
そして終わりなき愚かさ
復讐の先に虚しさだけが募り
契約書は燃え落ちる
命の終焉と共に
辿り着く結末を知りながら
抗う事をせずに
その道を選んだ時
きっと後悔はしないのだろうと確信した
自分に残されたものは
何一つありはしなかったのだから
潰された未来の残骸すら
掻き集める気力もなく
不幸の源の消去と
人生の放棄を選んだ
二度と灯らない命の蝋燭
望んで堕ちる幻惑の海
奈落の安らぎと
終わり逝く景色を眺める最期
空虚が満たされた幸福
ああ、何て幸せなの…
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