詩集
薔薇妃の心
誰も知らない。
誰も知ろうとしない。
いや、知る事さえも許されない秘密の花園の如く。
薔薇妃の心を。
こじ開けても深紅の薔薇が詰まっているだけで、考える事も宿命から逃れる事にも疲れた心を。
散る散る薔薇の花びら。
溢れる涙さえも、美しく。
ルビーのような宝石。
輝くほどに薔薇妃の哀しみは深く、嘆きの海に底はない。
訪れる人のない深紅の薔薇の世界で、ただ眺めるは永遠。
永久に永久に孤独。
繋がりのない心。
孤独は宿命。
何の意味があるのかさえ、判らないままに涙に暮れる。
その度に薫る薫る薔薇たち。
手を伸ばし手折る薔薇。
次から次へと手折っても、薔薇妃の孤独を吸い取り。
更に咲き誇る。
終わりのない絶望。
甘い薫り。
ひび割れた心は永久に孤独。
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