[携帯モード] [URL送信]

憑波連の狂日
Chapter:1 狂日〜3日目 早朝〜
 午前二時三十分。
 昨日の夕暮れに琶出城 藍璃珠によって明かされた楓麻 琥露廼についての驚愕の事実を繰り返し、繰り返し、憑波 連は思索していた。
 信じる、とは言ったものの、連の内心にはまだ、疑念がこびり付いて離れないでいた。
 まさか、二日前にであった、あの少女が、とある異世界の魔王の因子をその身に持っているなど誰が予想しただろうか。
―――あれが本当だとして、今から俺は何をすればいいんだ。
―――我が儘に付き合えとあいつは言っていたが・・・
 果たしてそんなことで琥露廼の件は解決するのだろうか。そもそも、藍璃珠の言葉の真偽さえわからない。
 今考えても仕方ないことだ、と連は思考を停止したが、それでも不安は彼が眠りに就くまで消えることはなかった。


 −某所−
 少しだけ暗い小さな部屋の中に、少女ともう一人、彼女よりも二つか三つ程年上に見える少年は佇んでいる。
「例の楓麻 琥露廼の件について進展がありましたので報告いたします」
「楓麻 琥露廼の暴走を抑止する環境が整いました」
 その報告に、少女の前に立つ彼は答える。
「『環境』は、やっぱり憑波 連に決まったのか」
「はい」
「環境は整ったが、どんな事象が起こってもおかしくはない。引き続き監視を怠るな、藍璃珠」
「はい、承知いたしました、鬼泉 桜忌様」
 そう告げると、少女―――琶出城 藍璃珠はその場から立ち去った。

[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!