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憑波連の狂日
Chapter:1 狂日〜1日目〜
「ほら、コイツ、私が街で捕獲してきたの」
「捕獲って・・・」
 憑波 連は反論する。
 あの後、楓麻 琥露廼に十五分程踊らされた後、唐突に「飽きたわ」とか発言され、捕獲され、無理矢理その辺の特にコーヒーがうまそうでもない喫茶店に連れてこられた後、今に至る。
 先程の琥露廼の発言に、彼女の向かい側の椅子に座っていた、鐘咲 梨莉衣が答える。
「へぇ、なかなか面白そうな人間だね、これ」
「これって・・・」
 まっっっっっっっったく酷いだな、コイツら、とか連は思わないでも無かったが、口にするとまた一般市民の前で踊らされる確率が高いと判断したため、黙っておくことにした。
「ていうか、っ、多くない?」
 梨莉衣が連の地の文を初対面のくせに読んでしまっていた。
「それに、今の言葉、気に入らない、殺っちゃいましょう、梨莉衣」
 琥露廼が危険なことを言い出し、喫茶店の椅子を持ち上げようとしたが、さすがにそれはヤバい、と思ったのか、梨莉衣が止めに入り、なんとか落ち着かせた。
「ところで、なんで俺はこんな危険な奴らと一緒にいるんだ?」
「は?危険?誰がよ」
 連が切り出すが、全く自覚していないらしかった。


 そんな、おもしろおかしいような、そうでないような会話をしていると、もう午後5時を回っていた。
「もうそろそろ遅いから、今日はこれでお開きにするから。あと、あんたたちはまた明日午前9時32分19秒46までにここに来ること!いいわね!」
 何故に9時32分19秒46ってなんだよ・・・、とか梨莉衣でさえも思ったが、特に口に出す様子はなかった。梨莉衣がツッコミをしていたら、それはそれで面白い様な気もするが。
 その後、琥露廼と梨莉衣が立ち去るのを見送ってから、連も帰ろうと席を立ち上がった。
 何処かから視線を感じる。何だろうか。誰だろうか。
 まあ、人がまだ十人程いる店内だ。誰かが視線をこちらに合わせてもおかしくはないだろうと、連は気にすることも帰路についた。


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