刀剣乱舞 私があいつのことを見ているのはそれが仕事みたいなもんだからだ。 前田藤四郎を見ているとイラつくことがある。 彼は礼儀正しくて、心優しくて、素直で手のかからないいい子だなんて よくお兄ちゃんは褒めているが私はそうは思わない。 あいつは本当は甘えたがりで、 いつもちらちらとお兄ちゃんの様子を窺っているようなやつなのだ。 そしてあわよくばお兄ちゃんの大きな手で わしゃわしゃっと髪を撫でてもらって よくやったななんて言われたいんだ。 でも本丸にはお兄ちゃんいわくぎゃーぎゃーと手のかかる短刀がたくさんいる。 だからぐっと我慢して強がって笑ってるんだ。 そんな様子が気に入らなくて 私はあいつが強がって笑ったら後ろからそっと近づいて 背中を思いっきり叩いてやるって決めたんだ。 だから私は今日もあいつの背中を見守る。 [次へ#] |