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王子様のプロポーズ
酔っ払い姫 ヒロイン目線→キース目線
4月初め。


私は春休みの間リバティ城でお世話になっていた。


しかし同じ城にいてもキースは執務で忙しく、会える時間は多いとは言えなかった。


今日もキースは朝から執務室に籠もりきりだった。


私は1人でキースが用意してくれたベッドでゴロゴロとしていた。

テレビをつけるがニュースしかやっていない。

1人だとついつい増えてしまう独り言を呟く。

「暇だなー。」


枕を頭にかぶり、足をバタバタさせる。


「暇だ、暇だ、暇だ、キースかまってー」


誰も部屋にいないと思い大声を出す。


誰もいないと思ったのに…。


「そんなにお暇なら買い物にでもお連れしましょうか?」

誰もいないはずの部屋で誰かに声をかけられる。

声のする方を振り向くとティーセットを持ったリュークさんがドアの側に立っていた。


「なっ…なんでリュークさんが…。
勝手に乙女の部屋に入らないで下さい!!
変態っ!!!」


独り言を聞かれたのが恥ずかしくつい怒る。

するとリュークさんは呆れたように私を見る。


「何度もノックしましたよ。
でも暇だ暇だってベッドで枕とプロレスしてるから気付かないんですよ。」


私は恥ずかしくて枕を頭から離し、ベッドから起き上がる。


「キース様がお出かけするのは難しいですが真央様だけなら、買い物に行くくらい出来ますよ。」


「お金ない。」


私がそう告げるとリュークさんは少しポカーンとした顔をする。


「キース様に頼めばよろしいじゃないですか?」


たしかに大学を卒業すればキースの妻となり、一国のプリンセスになるのだ。


私が頼めばキースは何億というお金を使ってくれるだろう。


しかし…


「そんなの嫌。
そんなことでキースにお金を出させちゃ駄目だよ。」


何か自分だけで遊べることはないだろうか…。


ふと考えているとテレビに満開の桜が写る。

私はパッと顔を輝かせる。


「これだ!!」


私は意味が分からないと言う顔のリュークさんを置いて部屋を出た。




*****

ふと書類から顔を上げて時計を見ると、お昼近くになっていた。


真央とお昼ご飯にでもしよう。


そう思っているとドアが少し慌ただしくノックされる。


何事かと思って口を開く前にドアが開けられ、キャシーが入ってきた。


「兄様、来て!!
真央が…」


キャシーは俺の側に来て、ぐいぐいと手を引き、走り出す。


「おい、キャシー走るな。
また体を壊すぞ。」


病気がちなキャシーを心配して走るのを止めさせようとするが、キャシーはクルッと振り返って叫ぶ。


「いいから、早く庭へ!」


何がなんだか分からず、俺はキャシーに連れられ庭へ出る。


城から少し離れた桜の木の下にある2つの人影。


真央にべったりとくっつくリューク。


「何してんだ、リューク!!
真央から離れろ!!」


急いで近づいていきリュークを強く押しとばす。


すると不意に誰かに足にまとわりつかれる。

ビックリして足元を見ると、真央が真っ赤な顔に薄ら笑いを浮かべ、俺の足にぎゅーっと掴まっていた。

「つかまえたのら。
もう離さないにょ。」

真央は呂律がまわらないまま、へらへらと笑っていた。


「…もしかして酔ってるのか?」


真央は笑うだけで答えない。


真っ赤な顔に、呂律のまわっていない言葉…間違いないだろう。


あたりにはお菓子や料理に紛れ、缶ビールが転がっている。


「どうしてこんな真っ昼間から、外で、しかもキャシーまで巻き込んで酒を飲んでいるんだ!?」


俺はリュークに鋭い視線を送る。


リュークはビクッとしてからオドオドと話し始めた。


「真央様が真央様の国で行われる花見がしたいと言い出しまして…
私も少しばかり調べて、花見とやらに欠かせないものと書かれていたお酒を用意したら真央様が少し飲み過ぎてしまったようで。」


言い終わるとリュークは申し訳なさそうに下を向いた。


「昼間からしかも外でこんなに酔うまで飲ませるなんてお前は執事として失格…「真央歌いまーす」


俺がリュークを怒鳴っていると真央が場違いすぎるアホな声を出して、ぴょんと立ち上がった。


は?

歌う?


ポカーンとしている俺とリュークをしり目に真央は楽しそうに歌い始めた。


呂律が回っていないためなんの歌だけわからない。


そして真央は歌い終わると俺ら3人をじっと眺めた。


「はくすは?はくす」
真央はムッとしたようにして言った。

「はくす?」


聞き慣れない言葉に聞き返すと真央は更にムッと口をすぼめる。


「はくすもあげられらい位下手らった?」


するとキャシーがパチパチと手を叩く。


それを見て真央は満足そうに笑い、キャシーにぎゅーっと抱きついた。


「キャシー好きら」


「…ありがとう。
私も真央が好きよ。」


キャシーが少し困ったように笑いながら言うと、真央はキャシーを襲うような勢いで抱きついた。


「痛い、痛い」


キャシーが苦しそうにもがき始めたので、俺は真央からキャシーを無理に外した。

「キャシー、もう中に戻れ。
リューク頼む。」


俺はキャシーをリュークに預けた。


キャシーは何度も##name _ 1##を何度も振り返りながら城内に戻っていった。


「ほら、俺らも帰るぞ。」

##name _ 1##の手をひいて連れて行こうとすると手をふりほどかれた。


「いやら」

##name _ 1##はきっぱりとそう言って動こうとしない。

「いやいやいやいやいやいや」

##name _ 1##はだだっ子のようにじたばたとして連れて行くのは大変そうだ。

俺はため息をついて花見とやらに付き合うことにした。

しかし##name _ 1##の手が再び酒に伸びたので俺は慌てて制止しようとする。

「これ以上飲むんじゃねーよ。」

取り上げようと手を伸ばすが、##name _ 1##は普段ではあり得ないくらいの力で握りしめていて簡単には外れない。

奪おうとすると強く抵抗される。


バシャッ


争っているうちに##name _ 1##がプルタブに手をかけたのか、缶ビールの中身がもろにかかった、


「・・・冷てぇ」


しかし##name _ 1##は悪いとは思ってないらしく、あひゃあひゃと笑っている。


ワイシャツがベタベタして気持ち悪い。


いくら酔っぱらっているとはいえ、我慢の限界だ。


文句を言おうと口を開いた瞬間、##name _ 1##がごろんと俺の膝に転がってきた。


は?


口を開けたまま眺めているうちに##name _ 1##はすやすやと寝息をたてはじめた。


怒っていたのも忘れて彼女の可愛らしい寝顔にみいってしまう。


・・・可愛い。


とにかく大人しくなってよかった。


ほっとしていると##name _ 1##がガバッと起き上がる。


「忘れてら。」


##name _ 1##が思いっきり俺のシャツの胸ぐらを掴む。


「な、何すんだ!?」


酔ったこいつはろくなことをしないとわかったから俺は身構える。


##name _ 1##の顔が近づいてきて、唇が重なる。


「おやしゅみのちゅー。
大好きらよ、キース。」


そして再び夢の中に落ちていく##name _ 1##。


残された俺の顔は真っ赤だろう。


「ったく、襲っちまうぞ。」


そう呟いても真央は起きる様子もない。

俺はベタベタのワイシャツにパタパタと空気を含ませ、苦々しく笑った。


こんなことをされても可愛いと思うなんて、重症だ。


こんなにも俺の心をかき乱したんだ。


もう絶対頼まれても離さない。


俺だけのプリンセス。


Fin






あとがき
なんとか桜シーズンに間に合いました。
キース様はなんだかんだヒロインちゃんに振り回されているイメージです。
今回も甘いシーンが皆無に近い・・・
どうしたら上手く書けるのか(T-T)
誰か教えて下さい。
スマホに移ったら上手くデータが引き継ぎ出来なくて、初めからになってしまいました・(。´Д⊂)
もう一度一から頑張ります・・・

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あきゅろす。
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