[携帯モード] [URL送信]

甘い禁断にkiss
思わぬところに

それにしても。
俺を狙う連中とは、誰なんだろう。

ひとりは、家庭科室によく来るあのアホガキ……
それくらいしか思い当たらない。

篠宮が本気なのかどうかはわからないけど、アイツは感情が素直に表に出るから、多分本気なんじゃないかと思う。

受けとめられないには変わらないけど……


天井を見つめてボーッと考えていると、ガチャとドアが開く音がした。

「あ、佐久間先生じゃん、何してんのー」
「なんだ、各務先生か」
「“なんだ”って何、何なのそれは」

保健室のドアから顔を覗かせていたのは、体育教師の各務慎太郎先生だった。
フレンドリーでいじりやすいから、教師仲間や子供からも人気のある先生だ。

今もにこにこと笑っている。

「いやー、伊吹の野郎が『各務、汗臭い』を連呼してくるから職員室から逃げてきたんだよー」
「相変わらずですね、でも実際各務先生は汗臭いですよ」
「え、ソレ佐久間先生まで言っちゃうの!? ひでぇ!」

二人の笑い声と和やかな空気が保健室に広がる。
さっきまでのジメジメとした雰囲気はどこへやら。

皆に好かれるのも分かる気がする。

「……んで、ちょっと佐久間先生に相談したいことあんだけど、いい?」

何だろう、各務先生が相談だなんて。悩みなんてなさそうな顔してるのに。

少し好奇心の力も借りて、俺が首を縦に振ると、各務先生は先程伊吹先生が座っていた丸椅子に腰掛けた。
「あの、真剣な話なんだけどさ」
「はい」

「俺、生徒に告られちゃって……どうしたらいいのかわかんないんだよな」


各務先生は頭を掻いて気まずそうに笑う。
一瞬部屋の中が静まり返った。


「そ……それは大変だ」

俺は苦笑いしか出来なかった。

思わぬところに同じ境遇の人がいたんだ。

でも、さすがに男子生徒に告白された訳ではなくとも、同じ立場の人がいると少し心が落ち着くし。

せっかくだからゆっくり話を聞いてやろうと思った。



[*前へ][次へ#]

6/7ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!