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だいなまいと!

「果てろ!」

「いーやーっ!」

え、ちょタイムタイムタイム!なんかダイナマイトが四方八方から飛んでくるんですけどぉお!


「何者だ てめぇ!」

「何者か訊いておいて攻撃するのはなしでしょうよ!」

何なんだこの銀髪何なんだこの爆弾男。
失礼にも程がある。
ちょっと「いかつ…難しい顔してたら幸せも逃げますよ」って本当のこと言っただけなのに攻撃してくるなんて。
ヤクザですか、なんでもいちゃもんつけてくるあのヤクザですか。


「物を人に向かって投げちゃいけませんって幼稚園で習わなかったんですかー?」

「メイドごときに諭されたくねぇよ!

「私だってやりたくてやってるんじゃないんですー」

「知るか。つーかてめぇなんで当たらねぇんだよ!」

「私は“動体視力がいい”ってツナさんが言ってましたー」

「10代目が…?」

“10代目”?なんだそりゃ。
茶道か華道の家元か何かか?
…あ、そういえば昨日ツナさん達がマフィアがどうとか言ってたっけか。
マフィア、ファミリー、のボス?――まさか。
いくらなんでも、

「非現実的過ぎるでしょ」

「あ?何がだよ」

「おっとと、何でもないでっす」

いかんいかん。つい言葉の端くれが口から出てしまった。
おかげで意味不明な独り言を言う変なヤツだと思われただろうな。
…せめて変な“女”だと思ってくれたらいいな。


「まぁ冗談はこんくらいにしてよ」

冗談で落としかけた私の命どんだけ。

「お前が例の女ってワケなんだな」

「“例の”?」

「あぁ。
実はお前についての連絡っつーか伝達つーか。存在は知らされたんだよ、ついさっき」

「ならなんで攻撃したのさ」

「お前イコールその女だとは分からなかった。
なんせ10代目は“今日から絶対攻撃の当たらないメイドが住むけど手を出すなよ”しか言ってねぇんだから」

ツナさん、適当にも程があるってもんですたい。
そして“絶対攻撃の当たらない”は言い過ぎ、過言、といったところだろう。
あくまでも私は防衛本能で避けてるに過ぎないのだから。


「…ったく昨日のうるせぇ警報音はコイツかよ。ジャンニーニとスパナの機械馬鹿は何やってんだ」

「はい?何か言いました?」

「何でもねーよ」

独り言だ独り言、と適当に流されてしまった。
むむ、私って苦手なんだよなぁ横文字。


「つーかてめぇ俺のダイナマイト避けれんのは相当だな」

私に聞こえるか聞こえないか。それこそほとんど独り言みたいな言葉に対しての返答は、私の口からは出なかった。
代わりに、もう既に聞き慣れ始めている人物の声が。


「そうだよ獄寺くん」

「あ、ツナさ「10代目!」

うっわ私の語尾消えたわ。
てかなんか獄寺さんの声色…変わりませんでした?
なんだろう…一言で言うならば猫なで声的な。


「お疲れ様です!」

「うんお疲れ様。
咲はあんまりチョロチョロ動かないでよ」

チョロチョロ、ってネズミじゃあるまいし。――ツナさんにとっては私なんてネズミ同然ってことかな。
…。


「で、何かなこの火薬の残り香は」

「あぁそれはさっきこの獄寺さんがですね、私にダイナマイトを投げつけてきまして」

「いやーこの女が連絡に聞いていた女だとは思わなかったんで、すみません」

「…ふぅん」

獄寺さんはニコニコしながら、そんなことはどうでもいいとでも言わんばかりの口調でそう言った。
しかし、ツナさんも負けないくらいニッコリ笑って続けた。


「でもさ、ちょっと考えれば分かるよね。それに、そんな結構本気でたかがメイドに攻撃しなくていいし。
あ、もしかして確信犯?彼女が彼女だって分かっててやったのかな」

「「…」」


私までもが、絶句してしまっていた。
だって…だって、目が1ミリたりとも笑っていない。
こちら(正確には獄寺さん)を射抜かんばかりの、冷たく冷たい視線だった。


「も、申し訳ありませ…」

「まぁとにかく。
オレのモノに傷付けた時は――覚悟しておいてね」

「は…はいぃ!」

怖い。
他の感情が全て消え失せそうなくらい。とても、とてもただ純粋に、怖い。
こんな風に、逆に感情がクリアなのは――二度目。
…二度目?じゃあ一度目は――?


「っていうか私ツナさんのモノになった覚えないんですけど!」

「え、そうだっけ」

「素晴らしい記憶力ですね」

「自覚してるよ、ありがとう」

「誉めてません」

「じゃあ今からオレのモノね」

「は…いやさっぱりこれっぽっちも意味が分からな――」

途端。
視界が ふ、と暗くなった。
なんか暗くなる寸前に視界の端に驚愕に染まった獄寺さんの顔を見た気がする。

そんな思考の途中で、自分の唇に ふに、と柔らかい感触がした。――え、なに、を?


「――今、何した、んです、か」

「え、キス」

視界が暗くなった原因はツナさんがいきなり近づいてきたからだった。
私が動揺でぱくぱくと口を動かしていれば、またもツナさんは爆弾発言。


「あれ、足りなかった?」

「いえ、ていうか、そんな、ちがくて」

「日本語喋ろうね」

「ファーストキス―――っ!」

「え、ウソ。それは初耳。ごめんね」


爆弾男×2

心臓も爆発寸前。


fin.


・・・・・・・・・・・・

なんだか久々。


 



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