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美味しそうですな


「ふぁーあ…」

退屈。暇過ぎる。
学校とかもう燃やしちゃいたいな。
てか高校3年生にまでなって皆で体育なんてちゃんちゃらおかしい。

私ら、もうすぐで制服がコスプレになっちゃうんだよ?
恥ずかしいよ。

だから私は、学校指定の体操服なんて無視してジャージを着ている。
普通だったら咎められるんだろうけどさ。
別に素行悪くないし。


勉強もそこそこ。
運動もそこそこ。
何か苦手があるわけでもなく、秀でたものもない。

そんな私は、もういい加減この退屈な世界にうんざりしていた。


ピッ

「集合整列!」

「(……タルい)」


またも生あくびをしながら指示に従って。
解散した後体育館をでれば―――黄色い鳥がいた。


「ヒバリッヒバリッ」

「……は?」

その鳥は、くるくる飛び回りながら“ヒバリ(多分)”を連呼していた。

―――いや、オウム以外の鳥って喋れるのか?

空耳にしては発音がしっかりしているな、などと考えていれば、その場で回っていた鳥が方向を定めて飛び出した。


「………」


何だろう。うん、なんとなく。

その鳥が、気になって。
気付いたら私は久しぶりに疾走していた。


「はぁっ…はぁっ…!速いな…」

ジャージのままで良かった。
端からみれば、学生が昼時に鳥を追いかけて全力疾走している異様な光景だが、咲は気にしない。

ふと視界を広げて周りを見れば、木々の鬱蒼と茂る森に入っていた。


「(親鳥なのかな…巣に帰る…?)」

だんだんと体力も消耗し、もう半分諦めモードに入ったその時。



「え…何だ、これ…」

もう一度確認するが、ここは森の中。
道という道もないような場所だ。

しかし、そこに場違いすぎる設備がある。


何かしらのアジト、みたいな。
いや、流石にそれはないでしょ。
現代にそんなのあっても痛い人扱いだよ。


――とは思いつつも。
やはり気になるわけで。

「(ちょっと、覗いていこう…)」

なんか、映画に出てきそうなセキュリティがあった気がするが、一般人な私通れましたが?いや、なんかビービー鳴ってるけど。警報音だけ?
大丈夫かな、この秘密基地。

――あ、なんかいかにも人いそうな部屋はっけーん。


ガチャリ

「……」

「…失礼しましたー。」

バタン


うん、帰ろう。迷わず帰ろう。
 
カラスが鳴いたらかーえろって―――


ガチャッ

「ねぇ君…何処から入ったの」

「やあカッコいいお兄さん、さようなら」

「待ちなよ」


ダッシュしようとした体を、一瞬で止められた。

「離せおっさん!」

「わぉ、君ほど失礼なのは初めて見たよ。それに僕はまだ25だよ」

「へっ、私からしたらおっさんだ」

「咬み殺すよ」

「おっさんの歯どんだけ強いんすか」

「だから――――めんどくさ。」


え、あれれ。
会話放棄すか?まさかの会話投げ出しましたよね。

てか痛いです痛い痛い。
腕が泣いてるからそんな強く掴まないで。


「暴れないでよ、今すぐ沢田綱吉につきだしてあげる」

「は?いや、知りませんけど誘拐されかけてる気がするので暴れます」

「そう、なら―――」


ガンッ

いきなり、私の頭に向かって銀色の物体が飛んできた―――――が、ひらっと避けた。


「――?」

「ちょっと、危ないじゃないですか、そんな玩具なんか振り回して」

「いや、君何者――」

「大体、いい年こいて玩具で遊ぶなんてガキで―――!?」


ビリリッ

な、なんだ…?
なんか、痛い。いや、身体的には痛くないのだが…。
 

―――あ、これは殺気…?


「いいかい、今からする質問だけに答えなよ。じゃなきゃ咬み殺す」

「え、ちょやめ―――「止めてくれないかな、雲雀さん」


え、なんかまたニューキャラ登場したよ。
うわ、頭ツンツンだ。小麦色だ。


「…沢田綱吉」

「えっこれがサワダツナヨシですか」

「へー君いい度胸してるじゃん」


気に入った、と言って爽やかに笑われたので、つい私も笑い返す。

「優しそうな人、誰かとは違って」

「沢田綱吉、コレ咬み殺していいかい?」

「ダメだって言ってんじゃん」


ん?
あれ、気のせいかな。サワダツナヨシの笑顔が黒かったような。


「誰が黒いって?」

「え、あの、心読みました?」

「うん」

「うわちゃー、サワダツナヨシは中二病ですか?読心術とかウケます」

「………」


あれれのれ。殺気が増えたよ。
怖い、怖いよーお母さーん。


「そういえば、さっき雲雀さんのトンファー避けてたよね」

「トンハー?あの銀色のはトンハーというのですか」

「うん、トンファーね。君何者なの?」


また聞かれた。
てかただの高校生に何者ですかって聞かれても。

「学生ですけど」
としか答えようがない。

そんな私の解答の何が面白かったのか、サワダツナヨシは“へぇ…”と、意味ありげに唸った。


「えっと、とりあえず帰ってもいいですかね」

「何言ってんの」

君は重要な秘密を知った俺らにとっての危険人物だから帰すわけにはいかない、と笑顔のまま言われた。

…わんすもあぷりーず。


「君、名前は?」

「藍川 咲ですが」

「うんじゃあ咲、今日からここで働いてね」

ごめんなさい、お姉さん最近耳が遠いみたい。


「だから、今日から住み込みでここで働いてね」

「だから心読まないで下さい」

「俺らはマフィアで、ボンゴレっていうファミリーを―――…」

マフィン?
あぁ美味しいよね。作ったことないけど。


「――俺はツナで…こっちが雲雀恭弥」

ツナにギョーザ?ん?

美味しそうですな


(―――って感じだからよろしく)
(はぁ…美味しそうですねぇ)
(は?)
(ダメだよ沢田綱吉、咲は完全に馬鹿みたいだから)
(失礼だよ、ギョーザくん)
(は?)


Fin.
・・・・・・・・・・

ごちゃごちゃ開始。


 



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あきゅろす。
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