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うわぁ…この距離感(フラン)

えー…っと。

まず状況を説明しようじゃないか。
この、可哀想ななまえチャンのある状況を。


「………」

明朗簡潔に言えば、映画を見ている。
それも、彼氏(?)であるフランとだ。

え、何が可哀想か分かんない?
やめてー冷たくしないでー。


コホン。
何が大変かと言うとですね。
見ている映画―――洋画なんですよ。

ほら、洋画っていうのは所謂えええええろてぃっくなシーンがあるでしょう。

確かに1人で見ている分には特に気にはしないさ。
でも、フランとだよ。
愛すべき旦那様とだよ。(未来ではなってほしいという夢想)


恥 ず か し い 。

うわぁ…この距離感



「なまえサンー?
なに固まってんですかー?」

「気にするでないフラン氏よ」

「キャラ崩壊半端ないですねー」

放っとけ。
このデリカシーの欠片もないカエルめ。

 .....
「でかしりー?それはなまえサンのこ―――」

「黙らっしゃぁああぁあい!」


言うと思った。
あぁこのバカガエルなら私の期待を裏切らず言うと思ったさ!
 てか、心読まれたよね。
デリカシーって口に出してないもん――多分。

「ていうか、なんで微妙に離れてんですかー」

「え、なんとなく」

「なんとなくで彼氏から離れる女がどこにいるんだよー」

「ここにいるじゃん」


ふん、いつも毒づかれるお返しだもんね、へっ!

あ、でも彼氏だって私の思い込みじゃなくて良かった。
こーやって傍にはいてくれるけどさ?
キスはおろか、抱き締めてもくれないもんね。

…あー。
考えたら寂しくなってきた。


いや、こんな毎日ドンパチやってる中。
甘い雰囲気なんて求めるのは真性の馬鹿としか言い様のないことかもしれないけど。


「――甘くないなぁ…」

「は?いや、十分ゲロ甘かとー」

吐きそうー、と言ってフランの指差す先の画面には愛を囁き合う男女。

―――――うわぁ。


「……いやいや、映画じゃなくってね」

「えーシュークリームも甘かったと思うんですけどー」

さっきまでもしゃもしゃと食べていたシュークリームを思い出す。

フランが買ってきてくれてたんだよねーふふー。(ノット変人)

あれは甘くて美味しくて頬っぺ落ちそうだった――てか落ちた。
ってそうじゃなくて!と脳内で踊っていたシュークリーム達を追い出し。


「フランだよ、フラン!」

「は?」

意味がわからない、とでも言いたげに眉を潜められた。


「だって、ギューもチューもしてくれない!」

そう、ちょっと叫び気味に言えば豆鉄砲くらった鳩みたいな表情になったフラン。
お、レア顔。


「……なんでいきなり―――あー」

もしかして映画のせいですかー?と問い返され。
落ち着きを取り戻した私はちょっぴり恥ずかしくなって。


「(この鈍感女はミーを動揺させるの好きだなー)
…別にーしなくても甘いつもりですー(つーかしたら理性プッツン)」

「嘘!
ギューとか男なら誰でもしたいってベル言ってた!」


瞬間、ピリッと殺気が。
おー怖。

「(堕王子あとでグチョグチョにしてやろー)
それが嘘ですよー」

と、視線を外しながら言われた。
横顔に“嘘ついてます”ってかいてあるようにしか見えないよ。


とにかく、いつまでもこんな微妙な距離あるのやだよ、うん。
ということで、


「えいっ」

飛びついてみる。
――けど、やっぱり避けられた。


「ちょっと、なんで避けるのよ」
 
「いやー人がいきなりタックルしてきたら避けるでしょー」

「タックル違う!」

「なまえサンが襲ってきたらミー潰れちゃうんでー」

「ふざけんなカエル死ね」

「なに堕王子に洗脳されてんですかー」


あーあ。
結局また言い合いだ。
もー何がなんでもタックルかましてやる(もはや主旨違う)。


「とりゃっ」

「ゲロッ」

ありゃ、意外にあっさり。

てかやっぱ男の人なんだなー。
見た目ほっそいし顔キレーだし、最初は女だと思い込んでたしね。

てな感じにギューっとしてみたり。


「…離れて、下さいー」

「え、やだよ」


それから数秒後。
べりって剥がされて、視界が天井に変わった。

見えるのは、天井とフランの顔―――


「……何をしているんですかね」

「押し倒してますー」

「うん、そーゆーことじゃないよね」

「ミーだって頑張ったんですよー
悪いのはなまえサンでーす」

「や、意味わかんないけど取り敢えずどいてよ」

心臓ばっくんばっくんしてるよ。
だって近いんだもの、このお兄さん。

そんな私の気持ちとは裏腹に、一向にどく気配を見せないフラン。
てかむしろ近付いてきて―――

 
「ね、ねぇフラン?
確かに私は甘くないとは言ったけどさ…っ
これはちょっと心臓もたないって言うか「五月蝿いんだよー」


そう遮られたかと思えば――キスされた。

え、どったのフランさん。いきなり。
革命?フランの中で革命でも起こった?

―――――ちょ、てか苦し。


「んーんんーっ―――ぷはっ」

「なまえサンはキスの間まで五月蝿いんですねー」

色気を学んだらどーですかー、なんて言われた。放っとけ。


「長い苦しい」

「は、お子様」

「黙れクソガエル」

「あれれー、」


そんな口利ける状況かよー、と言われ言い返そうとすればその言葉をまた奪われ。

「ちょ、んぅー…っ」


や、この人私を殺す気ですかね。
まじで苦しいぞこのやろー。

酸欠に耐え兼ねて口を開けば、生暖かいものが入ってきて。
やばい、頭ん中まで溶けそう。


「…(なまえサン顔やばー。
抑え効かなくなったらどうしてくれんだよー)」


そんな理不尽な考え事をしつつ、名残惜しげに離れたフラン。

「―――――」

「なまえサーン?顔真っ赤すぎー」

  
「だだだだだ誰のせいよ!?」

「経験無さすぎで鈍感すぎる誰かさんー」

「鈍感違う!」

「えー…(今まさにミーが我慢してること気付いてないくせにー)」


てかさ。なんでいきなりこんな状況な訳よ。
あ、フラン退いてくれた――なんか逃げるみたいだったような気もしたけど。

今までずっと恋人にしては微妙な距離があったのにさ。


「なんで今までしてくれなかったの?」

「それ、はー…」

少々の沈黙のあと、キスしたりしたら止まんなくなってなまえサンを傷付けると思った、だなんて。

え、なに自制心的な?


「ま、気にしないでいいですよー」

「はい?」

「これからは甘く甘くしてあげますからー」

覚悟よろしくー、なんて付け足され。
…ばっかじゃないの。

キミとの距離が埋まった瞬間


私だって、たくさん愛しちゃうんだから。

覚悟はいーい?



fin.

・・・・・・・・・

若様の「青春乙女」へ企画提出!
楽しかったなぁ…。

胸きゅんを練習しなきゃ、です←


 



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あきゅろす。
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