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いつの間にか。(フラン)

此処は、ヴァリアー内霧部隊の一角。
そこに二人はいた。


「フラン隊長!!」

「はいー」

「好きです、付き合ってください!!」

「嫌ですー」

「そ、そんな…っ」



一見、1隊員が隊長に告白しているという、まぁそんなにも珍しくない光景。

だが少々事情が違った。


「なんで!?
こんなにも……こんなにも毎日毎朝毎晩愛を叫んでいるのに!」

「だからですよー」


フランの下につくなまえは、少々男勝りな性格の優秀な隊員だった。
なまえは、入隊した時からフランに心奪われ、性格のせいかすぐに告白した。

しかし、戦いの最中。

そんな色恋にうつつを抜かしている暇など、フランには無かった。


「もーいい加減諦めて下さいー」

「嫌だ!!」

「なまえも諦めが悪いですねー」

「も、とか言わないで下さい!!」

きっと、フランの言うもう一人は嵐部隊のベル隊長のことだろう。
しかし、麗からしてみればベルは羨ましいことこの上ない存在でもあった。

ベル隊長とフラン隊長は、喧嘩ばかりのようだけど私には当然、そんな立ち位置もない。



「ね、フラン隊長お願いです!
そんな戦いばかりに集中していたら疲れちゃいますって!」

「ミーは強いから大丈夫ですー」

「心の強さは皆一緒ですよ!!
心が疲れちゃうんですってば――…」

「もーなまえいいですかー?
鬱陶しいですよー」



ズキン...


言い過ぎてしまった、となまえは咄嗟に思った。
いつもはこんなに突っかからないが、今日は何故か熱くなってしまっていた。


 ―鬱陶しい――…



頭に何度もリピートされる。

私は気持ちを伝えたい反面、拒否を恐れていたのだ。
だからいつもは鬱陶しがられぬ程度に話しかけていたのに。




「そ…ですよね。
すみませんでした、時間を取らせてしまって」

「…?
なまえ、どうかし――…」

「失礼します」




後ろから聞こえる、いつもなら嬉しいはずの声からも今日は逃げた。

私は所詮ただの隊員。
隊長達みたく特別に能力を持つ訳でもない。


 

「――…ははっ、自己嫌悪だー」


自嘲気味にポツリ、と呟いた。


一度始まってしまったマイナスの考えは、そう簡単には戻らないもので。
自分の悪いところが浮き彫りになっていく。



「ん?
なまえかあぁ?」

「あ…スクアーロ、隊長……」

「どうしたんだぁ?」

「いえ…気遣いさせてすみません…」

「?」



なまえはこんなにも簡単に謝罪の言葉を述べる奴でもなかった。

その為、スクアーロは不思議に思ったが、あえて何も言わずその場を立ち去った。



「あーぁ、もう私ここにいちゃダメかもなー…」


近くにあった階段の一番下に小さく座る。
やらなければならないことは限りなくあるが、とても出来そうにない。


…そうだ。
少しお休みを貰おう。

そうすれば暫くはフラン隊長とも顔合わせなくて済む――…



考えるが早いか、直ぐにXANXUS様のもとへと行き、その致を伝えれば意外にもあっさり休ませてもらえた。

ついでに体をしっかり休めよう………。






―――――――……



おかしい。
なまえがもう3日も休みなんて。

っていうか、ミーはなんでそんなことをいちいち覚えてるんですかねー。
たかが、一隊員の休み始めた日、なんて。


フランは気付き始めていた。
なまえがいないと寂しい、ということに。


よもや、自分の適当な言葉がなまえを傷付けてしまったなどとは思わなかったが、ひとまず隊長として様子を見に行くことにした。


* * * * *


コンコン

――――ん…?


「あれー開いてるなら入っちゃいますよー」

ええぇぇぇええぇぇえ…いやいやいや、どうして!?


「フラン隊長!?」

「はいーそーでーす。
体調はどうですかー?」

「え、あ…はい。
というか体調は別に良好というか……」

「?」

「あーなんでもないです!!」


突然のフランの来訪に、なまえは混乱していた。
仮にも玉砕した(と思っている)相手。
気まずいことこの上ない。



「何があったんですかー?」

「え……別に」

「黙秘権はありませんー喋らないと隊から外しちゃいますよー?」


そのフランの一言に、心の中でずっとひしめいていた感情が一斉に動いた。
悲しい苦しい痛い辛い虚しい―――――

 


「………すよ」

「はい?」

「いいですよ、外して下さい」

「っ?」


全く予想外の自虐的ななまえの返答にフランは言葉を失う。


「私みたいな役立たず、さっさと切り捨ててもらっていいですよ。

役立たずの上に隊長達に迷惑ばかりかけて。
挙げ句、勝手に休んでまた手をわずらわせて。

邪魔ですよね、こんな隊員。
だから私、全部諦めて忘れますから、どうぞ隊から外し―――」



その続きは言えなかった。

何故かって、口が開かなかったのだ。
フラン隊長の口に塞がれて――。



「…は……っな、何するんですか!!
まだ喋って……っんぅ」


離された途端、また一方的に喋り出したなまえの口はまた塞がれた。



一秒、がすごく、長い。


なんで…?
好きでもない人にキスなんて…。
フラン隊長はどうしてこんなことをしてるの?

遊んでいるの――?



「っぷは……っはぁ…」

「…うるさいのが悪いんですからねー。
人の話もきちんと聞いて下さいー」

「いや、嫌だ…っ
聞きたくない……これ以上拒否されるのは嫌…っ………え、」



フワリ、



気がついたら、私の身体はフランの腕の中にあった。
身をよじるも、びくともしない。



「いいですかー。
一回しか言いませんからー」

「……何、でしょ、う」

「ミーはなまえが好きですー」

「は…なんのギャグですか?
笑えないですって――」

「ギャグなんかじゃありませんー。
信じて下さい」

フランのまっすぐな目に一瞬たじろぐ。


「気づいたんですよー。

ミーはなまえがいないと喪失感が大きすぎて仕事もろくにできませんー。
全部責任取って下さいよー?」
「私…なんかで、いいん…です、か…?」

「なまえがいいんですー」



私は、今の状況が信じられなくてつい涙を溢した。
フラン隊長はそれを優しく掬ってくれる。


「本当、ありがとうございますフラン隊長」

「呼び捨てでいいですよー。
ミーも呼び捨てなんですからー」

「……っフラン!!」


改めて抱き着き、この香りが夢ではないものだと何度も確認した。





End.


(そろそろ離れて下さいー)
(嫌だって言ったら…?)
(麗が困ると思いますー)
(? 私はずっとこのままでも、何も困らないけど)
(…言いましたね。その言葉、夜まで忘れたらダメですからねー)
(よ……っ?///)

・・・・・・・・・・・・・・・・・

はい、gdgdですねっ←
フラン好きなんだけどな…




   


 



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