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ババヌキ開


幾分まだ顔が青いタケモトが、それでも商売魂か、私が運んだ商品を数えていく。

私はデバイスをいじるフリをしながらタケモトが不正をしないか観察している。不正しようものならまた頭をシェイクしてやるよ。

「確かに10ダース。助かったぜ。最近またレートが高くなってきたんだ」

私が運んだのは、小指サイズの強化硝子に詰められた造血剤と免疫増幅剤だ。上から見れば違法薬物でも、こっちでなら話は別。

工場から店まて運ぶのが今回の私の仕事だった。

「この手の運び屋は足元見るからな」

「近道なんかして虎の緒を踏んじまったなんて災難だったな。薬の純度も良いし料金に10%、いや、15%上乗せしよう」

「25%だ」

「・・・・・・言うと思ったよ」

観念したのか、タケモトはレジから私が言った分の金を出す。

「ふふ、まいど〜」

ポケットにしまい込み、営業スマイル。

その時、鼓膜を揺るがす爆音が響き、ビリビリと空気が震えた。私は一瞬、身構え、耳を澄ます。

「この音はRPG・・・・・・いや、手榴弾か。にしてはデカイ音だな。改造か?」

「誰でもいいが俺の店を壊さないでくれよ」

イーストブロックで花火パーティーする奴は中毒者か、泥を王冠だと勘違いしている腐れ。または、ただの住民の挨拶だったりする。

「じゃあな。私は帰る」

踵を返した私の正面を、タケモトが慌ててカウンターから飛び出して塞ぐ。

「お、おい。そんな冷たいこと言うなよ。お前ならほら、見ろ!あんな糞ガキなんて瞬殺だろ」

「知るか。私は眠いんだよ自分でどうにかしな。それとも、あんたには私が12の試練に挑む英雄にでも見えるのか?冗談じゃない。自分の身を削ってまで他人を助けるなんてマゾっ気、私にはない」

強引に私はタケモトを突き飛ばすも、奴は往生際が悪かった。

「頼むよ〜。今度飛び切りの仕事まわすからさー」

「ふん。どうだか」

・・・・・・ああ、面倒だ。

私は扉を開け外へ出ると同時、背中越しにタケモトへ妥協論を提案した。

「私の帰り道を邪魔する奴だけ掃除しておく。後は自分でなんとかするんだね」

パタン。

私は右手で、腰のホルスターから全身をメタリックブラックで包んだ自動拳銃を抜く。

名前はSIG/ザウアーP226。日本の対テロ特殊部隊・SATも装備する名銃だ。全長196o。重量845g。DAアクション。複列弾倉の15発。弾薬は9oパラベラム。水や泥に浸けても平気な耐久性を持ち、命中精度も高い。

スライドのセレーションがなんともSIGらしかった。

質実剛健で知られ、1984年の米軍制式拳銃トライアルでは最後までベレッタM92と争いました。性能は勝ってた。負けたのは価格です。マネーって大事ね。

スライドを動かし、弾薬を薬室へ送り込む。それと連動して撃鉄が起き上がった。

準備完了だ。

「さあて、始めようか。フールキッズ。死にたい奴からかかってきな。バンシーはもう、泣き止まないぜ?」

私はセイギノミカタじゃない。

(ただの×××××さ)

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あきゅろす。
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