加速螺旋1
介抱すること一時間。体調も治り、ことなきことをえた。
そして、帰り道、私はミスト達と談笑していた。
「やっぱりチームを考えた方が良いと思うしー」
ヨシュノがどうしてもチーム名を決めたいらしい。私は別にいらないんだけどね。なんか、あった方がテンション上がるらしい。
「ここはヨシュノきらりん☆レボレーションでっ!」
ズコッ、と危うくこけそうになる。本気で言ってんのか?すると、ミストが反論する。
「ださいわよ。やっぱりミストファミリーで」
「五十歩百歩という諺を知っていますか?私は咲百花繚乱が」
「まず名前を入れるのやめろよ」
流行りなのそれ。それ以前にそんなチーム名にしたら泣けてくるから。勝っても負けても悲しすぎるから。
そう文句を言うと、三人がジーッと私を睨んだ。お前はどうなんだ?と言外に語ってくる。
いや、別に私は特別なにか考えているわけじゃないんだけど。頼むから人を睨むのはやめて。
な、なにか言ったら許してくれるのか?
「え、えーっと」
私は足りてない脳をフル回転させてチーム名を考える。
「メイガスなんてどうだ?魔術師って意味なんだけどさ、赤枝の騎士長が死んだのは魔女のせいだろ。縁起を担ぐにはちょうどいいんじゃないのか?」
三人とも沈黙し、何やら思案している。
先に口を開いたのは、ミストだった。
「いいんじゃないかしら」
「私も賛成だしー」
「私も同じく」
どうやら賛成多数で可決したようだ。面倒にならなくてよかったよかった。
さあ、これからどうするかな?そういや、咲に鍛練してほしくて
「待ってくれ」
後ろから声。私は考えるより早く、反射的に振り向き様P226を抜く。咲も柄から高速で抜刀し、刃の切っ先を相手の喉元へと突き出す。
まさか赤枝からか?そう思ったが、違った。
「って、子供?」
歳は十代前半。アジア系の小汚い男の子だった。武器を持っているようには見えないが、油断はできない。私の隣にいるヨシュノだって有名な狙撃手なのだから。
ガキはいきなり武器を向けられたせいか、ひどくビビっていた。それでも、掠れる声を紡ぎだす。咲は、喉を傷つけない位置まで刀を下げる。
「あ、あんた達。ゲームに参加していたよな?俺、見てたんだ。さっきまで」
ガキは言うか言わないか迷っているようだった。十秒近く間があく。
そして、こう言った。
「敵討ちしてくれ」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!