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氷鬼閉
私はある都市伝説を思い出す。

人間が目に捉えた情報を処理して、筋肉が動くまで約0.18秒かかる。つまり、私達がアクションをしたときには既に0.18秒分過去となる。

ならば、この反応限界時間を0にすればどうなるか?
チャカが狙いを定め引き金を引くのに0.18秒かかる間に動いて躱す。それを見たチャカが再度狙いを定めるのに、また0.18秒。

未来を歩く咲を捕まえられるのはそれこそ、クロノスしかいないだろう。

(ソレを使えるのは・・・・・・)

咲の動きには一切の無駄がなく、まるで舞のよう。

「くそくそくそくそ!!なんで当たらねえんだ!?」

拍車をかけるようにチャカの弾薬が尽きた。装填しようとするも、

クルクル。

ドシャ。

「ふん。雑魚が」

「あ、ひゃ」

チャカの銃を握っていた腕が、さらに距離をつめた咲に切り落とされた。

声にならない悲鳴をあげるチャカを見て咲は心底つまらなそうに吐き捨てる。

「あんたの目的はレオの実力をはかること。そして依頼する」

「テメエ!!こんなんしてタダで済むと思うなよ!こっちには狙撃手がいるんだからな!」

「それってこの人?」

咲は携帯型のデバイスを取り出し、音量をMAXにする。

『もしもーし!咲ッチ元気ー?』

「ヨシュノ!?なんでお前がコイツと通じて」

『あれチャカ。まだ殺されてなかったのー?』

名前を聞いて思い出した。
あいつはヨシュノ・カラドボルグ。有名なフリーの女狙撃手だ。

「さっき屋上を見てヨシュノの服が見えた」

血をコーヒーのドリップみたいに滴らせるチャカの顔は蒼白になっていた。

「こ殺、ヨシュノ!俺を見ろ!こうならないようにするのがテメエの役目だろうが!!」

ヨシュノはフアと欠伸し、小馬鹿。

『この角度で狙撃とか無理だしー。咲ッチ殺すとか嫌だしー。そっちの可愛い女の子は誰ー?』

「えっと、レオ・アンサラーって分かるか?」

『レオ?ああ、知っているよー。あんた結構有名だよねー。咲ッチの友達なら私とも当然友達ねん?』

随分フレンドリーな奴だなコイツ。

『つーわけで私帰るわー。赤枝さんもまともに仕事出来ないマヌケは殺す派なんでしょ。まさに今の自分がそうだって理解してるー?じゃあねん咲ッチにレオッチ』

プツ、ツーツー。

「悪い奴ではないな。頭がちょっとアレだけど。うーし、帰るぞ私。帰って夜まで寝る」

「うん。コイツを始末してからね」

チャカの目は焦点が合っていなかった。口元をよく見ればブツブツとなんか呟いている。
あらあら現実逃避?

「・・・・・・省略。オン・バザラドシャコク。死は新しい生に繋がる」

―――――――ストン。

落ちる顔は地面と長い口づけをする。

「帰る。帰って主様の傍にいる」

咲の相変わらずの忠誠心に乾杯。

今夜は酒を傾けるけど。

「あーくそ。長え道草だったよ」

空を見れば人口太陽は良い具合に夕方。





今日の酒はきっと美味い。

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あきゅろす。
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