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十人十色
素敵色

「イヴちゃんって、どこに住んでんの?」

「趣味とかある?」

「日本語上手いよねー」

「髪サラサラ〜」

「部活は入らないの?バレーとかどう?」

「バドミントンは?初心者も大歓迎だよ!」

「好きな音楽は?」

「アイドルとかって興味ある?」

授業の間の休みの度に質問が私に雨のように降り注ぎます。
困惑しながらも質問に答えて行きます。

「最近、この近くに引っ越してきました」

「ピアノを少々」

「勉強しました」

「毎日お手入れを」

「部活は・・・・・・まだ考え中です」

「クラシックが好きです」

「すいません。アイドルはよく分からないんです」

お昼休みになると、ようやく落ち着いてきました。

「あのーイヴちゃん」

「はい?」

お隣りの良子さんです。そういえば、初めの挨拶以来、会話をしていません。

「学校の中を一緒に歩かない?その〜案内」

「良いんですか?」

「うん!」

「私達も同行して構わないかな?」

「流皆さんに、京子さん」

「イヴちゃんが嫌なら別にいいけど」

「いいえ。是非、お願いします!」

なんてご親切な方々なんでしょう。わざわざ私の為に。とっても嬉しいです。




想像していたよりも、大きな学校です。

「あっちが料理室でねー。料理をするんだよ」

「来週は調度あったな。イヴは料理は作れる?」

「はい」

「だ、そうだ。京子」

「う、うるさい!」

「京子さんは料理を?」

「超が付くほどの不器用だよ」

恥ずかしそうにする京子さん。何故か、クスリと笑ってしまいました。

「笑わ無いでよ〜」

「はう。すいません」

「くすくす」「ははは」

この後も色々と案内をしてもらいました。

「本当にありがとうございました。皆さん」

「お礼なんていらないよ。イヴちゃん」

良子さんがギュウと、私の両手を握ってくれます。
暖かい、優しい手です。

「なら、私は」

「ひゃっ」

後ろから流皆さんが抱き着かれました!あう、背中に、背中に柔らかい感触が、

「こら流皆!イヴちゃんが困っているだろう」

京子さんが流皆さんを放してくれます。びっくりドキドキです。日本の方々は奥床しいと聞いていたのに。

でも、このようなのが、『友達』というのでしょうか?・・・・・・悪くないかもしれません。

「さあ、皆さん。次に行きましょう」

足取りが軽いです。

なんて素敵な時間なんでしょう。

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