93゚ (01) =僕の王子様= 幸慈と別れてからみんなで校舎へと向かう その間にもなにか視線を四方から感じていたが、人の気配はない… 気のせいだ。 「詩遠、今日の理科は実験室だよー」 隣から志紅の声が聞こえて、そちらに意識を戻す まだ不安はあったけど、これが初めてだから深くは考えなかった みんなに言っておけばよかった…なんて後悔するなんて思ってもいなかった …まだこのときまでは。 お昼前の理科。 腹は減るし、理科の実験用具は重いし… いいことがない。 「はあ。なんでリーダーになっちゃったんだろう」 実験するときは、グループでリーダーを決めるのだ それに俺が選ばれた…じゃんけんで負けただけだけど 「んうしょっ、」 反射的に目線を向けると、どこで見た顔 小柄で用具をとても重そうに持っていた まだなんとか持てそうな俺は、その子の腕から落ちそうだった、グループ分のビーカーを持ってあげた [→] [戻る] |