93゚ (07) 「失礼しまーす」 ずかずか入っていく俺の後を、こそこそ着いてくる志紅の姿は、端から見たら不気味に見えただろう 志紅の手を引いて、部屋を見渡すとすごく広いことが分かった 「あ、詩遠くんかな?」 奥のドアから出てきたのは、若くてスーツをきた男の人 志紅が小さく、えっ?といったのがかすかに聞こえた 「理事長の執事、兼、理事長代理です。名前は控えさせて頂きますね」 爽やかな笑顔で向かい入れてくれて、高そうなソファーに座るよう託された ソファーはふあふあしていて、座り心地が良かった 「理事長は海外に行かれていますので、変わりに私が」 「執事なのに、一緒に行かなかったの?」 タメ口であまりに唐突だったのか、志紅が慌てたように俺を止める それを柔らかく受け止めた執事さんは、にこやかに笑い答えてくれた 「ご主人様はプライベートで行かれていますので、世話係がご同行されています。」 「めんどくさぁ…」 志紅がまたもや制止の声をかける 自分のご主人様を侮辱されたと思ったのか、青筋を立てながら笑い言った 「そろそろ、学園の説明入っても宜しいでしょうか?」 「気の済むまでどうぞ」 汗をだらだら流しながら執事さんに言った [←][→] [戻る] |