93゚
(06)
「お前、すばしっこいよなぁ」
「憂こそ」
さっきまで殴り合いしていたのかと疑うほど、和解している俺たち
お互い口元に血を滲ませながらも、緩みを帯びている
あ、沙夜は華の妖精と呼ばれているらしい
まぁ当たり前だよな…と思いながら、沙夜の頭を撫でる
また真っ赤になるのも可愛いなあ、と変態オヤジになってきている俺
「あ、詩遠!!」
思い出したように志紅が俺を呼ぶ
外部生…?
俺みたいな奴は、早く行かなくちゃいけないらしい
「「じゃあね、憂、沙夜」」
声を揃えて言う、俺と志紅に呆れたように笑う2人
それを見てから、急いで走った俺たちに後ろから、気を付けろよ。という声が聞こえた
そんなすぐ転けないって…
「志紅、理事長室?ってどこ?」
「あー…もう少しだから待って」
理事長室に近付いてきたのか、息を整える志紅
その姿に首を傾げるが、大人しく着いていく
やっと志紅が止まるが、ため息ばかり吐く
「理事長、そんなに怖い人なの?」
「ううん…優しい人なんだけどねぇ」
そう言ってドアをノックするのを躊躇う
なんの迷いもなくノックした俺に志紅は、ビックリしてこちらを見る
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