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(29)
「えーっ、雅之さんに教えてもらったの?」
「うん!!…分かりやすかったよ」
志紅から雅之さんに料理を教えてもらったと聞き、口を尖らせる
アハハと笑いながら、志紅は謝る
長い廊下を歩いていると、いい匂いが漂ってきた
これは……煮物かなぁ?
志紅と急いで走り、居間に行く
「志紅。」
「あっ、壊人さん」
胡座で志紅を招き入れる壊人さん
いつの間に仲良くなったんだ…
少しむくれながら、傍にいた組員さんの隣に座る
「ん?…詩遠さんどうしたんスか?」
「ううん。俺の志紅を取られたなーって」
畳に軽く「の」の字を書きながら、ぐずる
組員さんが柔らかい笑みを見せてくれる
その人の名前は、総馬と言うらしい
「総馬の雰囲気、俺好き」
ヘヘッと笑って、総馬の顔を覗く
総馬は顔を赤らめ、俺の頭を叩く
「詩遠さん…もう…」
「ねー詩遠って呼ぼうよ」
「組長に怒られるってば…」
呆れ口調で言われる
暫く言い合いをしていると、幸慈と遙さんが戻ってきた
…李以も
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