93゚
(27) -Side遙-
「終わりましたか?」
「あぁ…本家に連れていく」
後部座席にぐったりしながら、寝ている詩遠くんに上着をかける
気に食わなかったのか、幸慈さんは睨みながら威圧をかける
…が自ら上着を脱いで掛けようとも、行動を起こさないので苦笑い
「香水、今日はつけないですから」
「嫌なもんは嫌なんだよ」
あまりにも子供っぽい幸慈さんに驚きつつも、詩遠くんに目を向ける
……この子は、幸慈さんだけじゃない
俺たちまでもが、変えられそうだ
こんな小さいちっぱけな子供に……
「なに見てんだオラ」
我が儘な組長を、怒らせないよう車を走らせる
不意に、志紅の事を思い出した
詩遠くんの手を振り払った後…追い掛けようと戸惑った志紅
この2人には仲良く、笑っていて欲しい
それは出来ない事なのだろうか…
「おい、遙。志紅を本家に呼べ」
「えぇ。そうしようと思っていました」
この2人には話す時間が必要だ
そう思った
[←][→]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!