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93゚
(28) -Side詩遠-

 
目を覚ますと、久し振りに見た畳の香り
 
「詩遠くん、おはよう」
 
「…來人さん」
 
起き上がると來人さんが、優しく出迎えてくれた
 
目を擦っていると腹の虫が鳴る
 
來人さんと顔を見合せ、2人で笑い合う
 
こういうのも久し振りだ
 
「來人…さんは俺の事..」
 
「怖くないですよ?…詩遠くんは詩遠くんでしょ?」
 
頭をぐしゃぐしゃに撫でられた
 
バラバラになった髪を直していると、襖が開いた
 
和やかな雰囲気に戸惑ったのか、なかなか開けた人が出てこない
 
來人さんがはっとして、席を外す
 
「えっ?…らい………志紅…」
 
現れたのはあの時、俺を拒んだ志紅だった
 
口を開こうと思ったが、今開くと志紅を傷付けそうだったので止めた
 
「詩遠…あのね、あの時はごめんなさいっ!!…詩遠だって怖かったはずなのに
 
俺、詩遠の友達でいる資格ないよね…」
 
泣きながら話す志紅に、本当にそう思ってくれていたんだ…そう思った
 
「ううん…友達でいる資格なんていらないよ。ずっと仲間でしょ?」
 
俺がそう言うと志紅はもっと涙を流しながら、俺に『ありがとう』と言ってくれた
 

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あきゅろす。
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