93゚
(23)
それから不安を残して数週間が過ぎた
「おにいちゃん!!いきなりいなくなったからビックリしちゃった」
小さい懍ちゃんは顔を斜めにしながら寄ってくる
丁度その時、ここらへんにいた小鳥たちが俺の上に舞った
チラホラ聞こえるのは俺に対する声
『寂しかった』
『早く歌って』
『遊びたいな』
そんな声が多かった
後でねって言って懍ちゃんに近寄る
距離が縮まったかと思うと一気にタックルをかまされた
軽かったから受け止められたものの…息が止まるかと思った
「ごめんね。教会に来る?」
「いく!!」
懍ちゃんと手を繋いで教会への階段を昇る
鼻歌を一緒に歌いながら教会に入る
「お昼出来てるよー」
蓮さんの声が聞こえて懍ちゃんと笑う
あまりにも蓮さんの声が呑気だったからね
「懍ちゃんも食べる?」
「いいの?…きょうパパとママいなかったから…よかったぁ」
ふにゃっと笑い、蓮さんと蘭さんのいるリビングに走っていった
暫くすると早く!!という懍ちゃんの声
思わず吹き出し3人のいるリビングへと急いだ
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