93゚
(22)
目を開くと心配そうな大好きだった顔が2つ
「蓮さん…蘭さん」
俺が声をかけると深いため息をついて、安心したような表情を見せた
蘭さんは一階に降りて行ってしまったけど、蓮さんは傍に居てくれた
「なかなか連絡くれないから心配したよ」
「っへへ」
その時、丁度蘭さんが手になんかを持ってやってきた
「夕食。なんも食ってないだろ?」
「わ……………?」
トレイの上に乗っているご飯を見てみると…
米はカチカチだし、魚は焦げすぎて原形をなくしている
蘭さんを見ると恥ずかしそうにうつ向いていた
「頑張ったんだけ、ど…失敗しちゃった」
照れながら笑う蘭さんは本当に可愛くて、それを見つめ嬉しそうな蓮さんも懐かしかった
「ありがと。…いただきます」
箸を進めると見た目以上に美味しかった
サバサバしてる米も焦げた魚と合わせると不味くもない
「蘭さん…美味しいよ?」
「ん…///」
こっちに背を向けているので表情は分からないが、照れているんだろうなと思う
久し振りの暖かい家族(?)の和に包まれて優しい気持ちになった
「あれ……」
「どうした?」
声に出していたのか俺の口から不思議そうな声
それに蓮さんがいち早く気付き、声をかけてくれる
「ううん…なんでもない」
首を左右に降って否定を表示る
でも不安は募るばかりだった
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