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夕食の時間が近付いてきて大室間へと急ぐ
 
來人さんは雅之さんの手伝いをするって言って、先に行ってしまった
 
考え事をしながら歩いていると、李以の声が聞こえた
 
何故か気になって息を潜めながら近付く
 
『このまんまじゃ久原組潰れんぞ』
『平気だ』
『あいつの見たかよ。いつあーなるか…』
『詩遠はそんな事しねぇよ』
 
俺……?
久原組が潰れる?
 
『一人で白川組を潰したんだぜ?』
『まだ防御出来ないだけだ』
『はぁ…俺はごめんだぜ』
『なら……抜けて貰って構わない』
 
俺が…白川組を?
一人で?
 
確かに気付いたときは周りは血の海だった
 
でも――…
 
俺が…やったんだ
 
俺が白川組を潰したんだ
 
だからみんな
 
『詩遠を恐れてる』
 
李以と思っていることが重なった
 
どうしよう
俺、ここに居ちゃいけないのかな?
 
ガタッ
 
足がふらついて壁に身体が当たった
 
すると2人共一斉にこちらを向いた
 
「し、おん」
 
李以が驚いたように俺の名を呼ぶ
 
俺もヤバいと思って逃げる
 
その後から幸慈が追い掛けてくるのがわかった
 
大室間に近いところだから、組員さんはビックリしながら俺たちを見る
 
逃げ足だけは早い俺に幸慈は追い付けない
 
「くそっ、遙!!詩遠を止めろ!!」
 
幸慈が叫んだ
 
前を見ると遙さんが困惑しながらも、俺を捕まえようとする
 

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