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93゚
(10) -Side詩遠-

 
「んっ…」
 
どれぐらい寝たんだろう…窓の外を見ると夕焼け空が出来ていた
 
体をお越し布団を退ける
 
「あ、起きましたか?」
 
今まで気付かなかったけど…部屋の隅っこには來人さんが居たらしい
 
「あれ?…なんで?」
 
「ふふっ…俺は詩遠くんの世話係ですよ?……傍にいるのは当たり前です」
 
柔らかく笑ながらこっちにくる
 
お腹空いてませんか?…と聞かれ、急に腹が減ってきた
 
「雅之も大室間にいると思いますよ」
 
大室間への道を歩きながら、そんな話をする
 
雅之さんと言えば…料理が上手いんだっけ?
 
色々教えてもーらお
 
「あっ、こーじは?」
 
不思議に思い言葉にすると、來人さんは思い出したように慌てて言う
 
「忘れてたっ!!…ごめんねっ、幸慈さんは仕事に行ってるよ。お昼ゆっくりし過ぎちゃったから…」
 
「あ…俺のせいかな…」
 
「それは違うよ…幸慈さんが自分から行かなかったなんて、珍しくて…愛されてるね」
 
可愛らしく頭をコテッと俺の顔を覗く
 
來人さんらしくない笑みでニヤついている
 
「そっそんなことないもんっ///!!」
 
恥ずかしくなり、早足で大室間への道を急ぐ
 
後ろでクスッと笑われたのを感じながら…
 

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