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93゚
(06) -Side志紅-

 
あの日…遙さんに嫌いと言ってから何週間か経った
 
詩遠が目を覚まして嬉しいはずなのに心の中はモヤモヤで…
 
遙さんに、謝りたいな
 
そう思うも行動に移すことの出来ない自分に腹がたつ
 
「遙さん…」
 
独り言のように呟くと、隣にコトッと物を置く音が聞こえた
 
「お爺ちゃん…」
 
「自分の気持ちに素直になりなさい。後悔はしないように。」
 
そう微笑みながら言って、どっかに行ってしまった
 
素直…にか。
 
もともと俺は内気で弱気…そんな俺に気持ちを伝える事なんて出来るのだろうか
 
ふと叔父が置いていったものをみてみると、そこには花瓶に綺麗に飾られた
 
『カランコエ』
 
があった
 
カランコエの花言葉は『幸福を告げる』
 
…お爺ちゃん、応援してくれてるんだ
 
祖父のためにも頑張ろうと思い、出掛ける用意をする
 
遙さんの好きそうな洋服を選んで玄関へ急ぐ
 
「ちょっと出掛けてくるねっ!!……いってきまーす」
 
自転車に鍵をかけ走り出す
 
…だが、すぐ走って思いついた
 
「遙さん、どこにいるんだろう」
 
そう思いながらも適当に行けば会えるだろうと思い、走り出した
 

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