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93゚
(11) -Side 詩遠-

 
「んっうぅ…」
 
重い瞼を開けると、見慣れた俺の部屋があった
 
なんで俺、寝てんの?
 
確か志紅と遊んでそしたらなんか身体が重くなって…それからどうしたっけ?
 
取り敢えず下に降りようと思って、身体を起こそうとする
 
…が、鉛のように重く起き上がれない
 
ガチャ
 
「詩遠…?まだ起きない?」
 
蘭さんの聞いた事もないような…悲しい声が聞こえる
 
「蘭さん…?なんかあ「詩遠…!?!?」
 
えっ…はい。
え!?
 
俺なんかした?
 
蘭さんが慌てるように俺の顔を見た後、また慌てて蓮さんを呼んだ
 
なんかこんな感じの前にもあったような気がする…
 
「え?…じゃぁ俺2週間も寝たきりだったの?」
 
それじゃぁ身体も重いはずだよな…
 
俺は志紅と遊んだとき倒れたらしく、それから2週間も寝たきり
 
みんな心配して、近所の人もお見舞いに来てくれたらしい
 
そのおかげでお見舞い品がいっぱい
 
ほとんどが食べ物なので、賞味期限が危ない
 
「久し振りに蓮さんの手料理食べたいっ」
 
「ったく…蘭。詩遠、連れてきてあげて?」
 
にへらと笑うと蓮さんは呆れたように言う
 
俺は蘭さんに軽々と……軽々と持ち上げられリビングへと到着
 
なんか…もう悲しいかも。泣きそう
 
カランコロン
 
「あっ、遙さんかな?」
 
食べ途中にも関わらず、箸を置いて裏口に行く
 
そこに立っていたのは――…
 
 
 
 
 
…――幸慈だった
 
ドクンと胸が高鳴り鼓動は早くなった
 
「詩遠っ!!」
 
幸慈が俺の名前を呼びこっちに来て、俺を抱き締めた
 
いつもと変わらない匂いで安心できた
 

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あきゅろす。
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