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93゚
(09)

 
ああ。もうここで消してしまいたい。早く詩遠の元へ行きたいのに…一番許せないのは、妖精だ。
 
いつも詩遠に心配してもらってるんだもん。みんなから心配されてて、自分は愛されるって思ってる。詩遠だって迷惑してるはず…!!
 
病気持ちらしいからすぐ消せる。ああ。詩遠。僕は君のために生きるよ。
 
「おい、平気か?」
 
「ぁ、すみませっ…」
 
怯えたような声を出せば、更に偽物の"姫"は僕を睨む。いいのかなあ?生徒が集まってきてるけど。
 
偽物の"王子"はそんな"姫"に苦笑い。早くいなくなってよ!!僕は詩遠の元へ行かなくちゃいけないんだから。
 
顔が酷くなりそうなのを抑え、早く帰るように祈った。詩遠…ごめんね?寂しいよね。
 
「じゃあ、詩遠見つけたら教えてくれ」
 
はい。と小さく答え、扉を閉める。まだ外ではぎゃあぎゃあ騒いでいた。
 
るんるん気分で寝室に行くと詩遠が目をつむっていた。綺麗……素直にそう思った。詩遠に近付き、顔を近付ける。 
唇が触れるまであと10cm………5cm……1cm
 
「わっ、なんだよ…びっくりした」
 
あと少しだったのに目を覚ましてしまった。どうやら寝ていたわけではないらしい。
 
ちえっと口を尖らせる。変わりに頬に口づけをした。ふふ、可愛い。
 
隣にねっころがって詩遠にぎゅうと抱き着く。抱きしめ返して欲しいけど、手錠を離したくない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
詩遠だけは僕を離さないで?
 

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あきゅろす。
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