93゚
(04)
気まずい雰囲気の中、仕事をしないのもおかしいので、黙々とプリントを片付けていく
隣には俺の手元を見つめる茶月
なにを言うのでもなく、ただ手元を見つめる
なんだろう…
「あの…そんなに見られても緊張するんだけど」
「あ、悪い。
唯みたいな手だったから」
唯さんみたいな!?
思わず自分の手を見る
でも唯さんみたいな、あんな綺麗な手なわけなくて…少し照れる
「とは言っても、唯の方がもっと綺麗だけどな」
…うん。分かってるけどそんなグサッと
取り敢えずお礼の言葉を言って、仕事を再開する
「あーっ、終わったあ」
「じゃあお開きな」
手をヒラヒラと振って、生徒会室から出ていってしまった
俺も早く帰ろう
急いで用意を済ませ、生徒会室の電気を消す
そのとき空気がざわついて、なにか言ったような気がするけど聞き取れなかった
まあ、いっか。軽く考えて生徒会室から出る
バタンッ
そこから俺の記憶は途絶えた
『僕の可愛い可愛い詩遠。
早く帰ろうね…僕たちだけの部屋に』
夜の学校に不気味な笑い声が響いた
[←][→]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!