93゚ (20) 詩遠の寮部屋から出て、來人に電話をかける すぐに出たと思いきや、幼女の声が聞こえる 來人にロリコン趣味があるかと疑ったが、その考えは打ち消された 『懍ちゃんっ』 詩遠になついているガキだ 『もしもし〜? お兄ちゃんですか?』 來人にかわれ。と一言言うと、電話の向こうで「怖い人だ」と叫ぶ声が聞こえた ガクッと頭が傾きそうなところを抑え、來人が出るのを待つ 『すみませんっ、幸慈さんの帰りが遅いので、教会に来たのですが…』 「じゃあ、そこで待ってろ。今から行く。」 一方的に電話を切り、教会へと足を進めた ここから教会まで少しあるが、歩いていけないというほどではない パラパラ不良らしき共が校内に入っていく 懐かしい母校を背に、これから葎に会うと思うと気が重いと感じた 葎には聞きたいことがたくさんある まだなんも話してないからな…時間はかかりそうだ 「最近、ヤってねぇな…」 首の骨を鳴らしながら、小さく呟いた [←] [戻る] |