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93゚
(02) -Side幸慈-

 
 
 
=そして裏切り=

 
 
 
詩遠にメールを送り終わり、資料に目を通す
 
白川は詩遠が潰した…が葎が本家の外にいた
 
そこが分からない
 
葎の苗字が阿久津でも、組に入れば苗字など意味を持たない
 
でもどうしても信じられない
 
高校時代、ずっと一緒にいて…少しの間だったが関係も持ったこともある
 
「葎…」
 
手元にある葎の顔を見る
 
パソコンに手を置き、葎の身元について調べることにした
 
夢中になってパソコンを弄っていると、携帯が光っているのに気付いた
 
詩遠からだった
 
「ほんと?仕事頑張ってね。学校楽しいよ!!…か」
 
さっきまでの難しそうな顔は嘘のように消え、笑みさえ浮かんできた
 
暫く携帯を眺めて、パソコンに向き直る
 
詩遠の事も心配だ
 
他の男に言い寄られてないか…他の男の事を考えていないか…俺を思っているのか
 
考えれば考えるほど、不安は込み上げてくる
 
その不安を取り除くには、早く仕事を終わらして詩遠を迎えにいけばいいこと
 
「あった……」
 
葎が今まで何をしていたか、そのことが書いているのを見つけた
 
それをコピーして、遙と来人、懐人…李以や雅之に渡しにいった
 
内容は残酷すぎて、何故助けてやれなかったのか…今は凄く後悔している
 

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