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93゚
(21)

 
四時間目の終わりを知らせるチャイムが鳴る
 
みんな一斉に立ち上がり、机をくっ付ける
 
「詩遠ーご飯買いに行こ?」
 
「うんっ!!…あ、」
 
志紅がどうしたの?と首を傾げ、こちらに寄ってくる
 
「俺…カードしか持ってない…」
 
幸慈の馬鹿野郎!!
 
いくら俺を信用してるからって、カードしか持たせないって…
 
そりゃ、信用してくれてんのは嬉しいけどさ
 
「なにそれー!!凄いね」
 
さっき教科書を貸してくれた人が、俺の顔を覗き込む
 
吃驚して少し後ろによろけると、その人は穏やかに笑って、寝ていた人の起こしにかかった
 
「いいよ。俺が貸してあげる。……それにしても詩遠、凄いね」
 
目をキラッキラさせながら、俺の手を引く
 
あらやだ、この子可愛い…って何キャラだよ
 
「なにが?」
 
「だってあの人と喋っちゃうなんて」
 
そう言っている途中に、憂と沙夜の教室に着いてしまった
 
憂と沙夜を呼ぶと、志紅が二人に言う
 
「ねぇねぇ!!詩遠ね、あの人と話したんだよ!!」
 
「え!?まじで!?」
 
「どっちなの?」
 
「薔薇の貴公子だよ!!」
 
そこでまた憂はおぉー!!と叫ぶ
 
沙夜は俺に尊敬の目を向ける
 

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