93゚
(17)
はぁ。と深いため息をついて、ある場所へと足を進めた
本家から遠く離れた、物置みたいな部屋に入る
襖を開けるとそこには、壁に鎖で繋がれている白川の者がいた
「ずいぶん窶れたんじゃないか?」
小さく笑い、ついでに腹を蹴り上げる
「お前に聞きたいことがある。お前、俺が不在だと知っていたのか?」
1つ間を置いてから、首を横に振った
念を押すと、怯えたように何度も否定した
「じゃぁなんで詩遠を拐えたんだ?…他にも白川の者がいたのか?」
「分からない……お、俺と、詩遠という奴を…拐う奴だけ…。でも、俺と一緒、にいたから」
分からないだと?
白川は組員を捨てたのか?
ますます気に入らねぇ組だな
「…最後に、白川はどこの傘下にいたんだ?」
「あ、」
一言漏らし、そこからは激しく左右に首を振る
懐から銃を出すと、更に左右に振る
「言わねぇと分かってんだろうな…」
「ひっ…あ、ぅ……桜鳳会っ、です」
……やっかいなもんの下に着いてたんだな
でもこれで桜鳳会を潰せば、久原は更に上へ行ける
部屋を後にして、遙の元へ急ぐ
この短時間でどれだけ情報が集まったか、分からないが早い方がいい
足を速めた
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