流れに流れて。
3
「じゃあさ、高宮くんと別れろって言った時この子はなんて言った?」
「ほ、本人の勝手っ―…」
そこで壱先輩は満面の笑みになって、彼女の手を下ろした。力なく落ちてゆく手が何故か可笑しくてオレは黙ってその光景を見ていた。
「彼は僕のコトを知らなかった。それはつまり彼が高宮くんが『鬼龍』という族の総長だという存在を知らなかったと言ってもいい。そんな彼が高宮くんに告白なんてすると思う?――…」
一旦言葉を区切ってオレの方を見た。
「キミ達含め、今までの女の子達は遊びってコトだよね?なんせ『あの』高宮くん自ら山下くんに告白したんだからね。それが何よりの証拠だろう?」
彼女は俯き肩を震わせている。きっと泣いているのだろう、オレはそれがいたたまれなくて口を開こうとしたが、何を言っていいのかわからず結局黙って彼女を見ていた。
1分もたっただろいか、何度目かわからないチャイムが学校中に響き渡った。
それを聞いた彼女等は一目散に逃げるようにオレ等の前から消えて行った。
「は、はは…」
「く、ふふっ」
力なく渇いた笑いがオレの口から発せられたのと同時に壱先輩から喉の奥からこみ上げるように笑い出した。
「うんうん、最高だよ山下くん!!くははっ」
終いには腹を抱えて笑い出す始末で、何が何だかわかんなくなってきた。
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