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D.Gray-man
影と灯り(神田ハピバ夢!)
(※一部捏造設定あります)




















「………」


自室

この上なく静かな空間


部屋の隅に飾られている唯一の私物
蓮の花を見る


―この花が枯れる前に俺は…


「………っ!」


不意に心臓が締めつけられるような感覚が襲う


「…っく……っ」



しばらくすれば収まった感覚は

俺の中に影を落とす



自身の手を見れば情けなく震えている

どんなに押さえつけても
俺の中の影を見せつけるかのように収まらない






―俺は…あの人を見つけるまで死なない
いや…死ぬ訳にはいかない






方舟での戦い

広がった梵字は削った命を示す


時折痛むこの梵字は俺への警告

命の残量は……多くない







コンコン、と良い音のノック


「神田!」


聞こえた声は充分に聞き慣れた物


「……名前か。………今開ける」
「神田、食堂」
「………は?」


回りくどい物言いは嫌いだが……
訳のわからない物言いは対処に困る


「だから食堂」
「………とりあえず主語を話せ」
「…………」
「…………」
「神田に食堂に来てほしいの」


今の間は何だ


「断る」


今はそんな気分じゃない


「神田…?」
「わかったら戻れ」
「………ん!」


ジーッと俺を見てたかと思えば急に名前は俺の腕を掴み引っ張る


「なっ…離せ!」
「私は神田の都合を聞きに来たんじゃない。神田を食堂に連れて行く為に来たの」


当たり前のように俺の腕を引っ張っていく名前


「……〜っわかったから離せ!」
「はい」


了承すればあっさり離した


「……ったく、何なんだよ」
「来ればわかるよ」




そして名前に連れられ食堂に入った瞬間…

パパパーンッ!


「「「神田!誕生日おめでとう!」」」


鳴らされたクラッカーとパーティー会場と化した食堂


「来ればわかるって…」
「誕生日おめでとう、神田」


隣で笑顔を向ける名前


「これでユウのが年上さね〜」

…名前で呼ぶんじゃねえよ

「うっうっ、…おめでとうユーくん!」

あんたは泣くな、鬱陶しい

「おめでとう神田君!プレゼントに僕特製のシャンプーセットを…」

誰がいるか、そんなモン

「しょうがないから一応祝ってあげますよ、神田」
「…んだと、クソモヤシ」
「もー、こんな日まで喧嘩しないの!」


イノセンスを発動しかければいつものようにリナリーが仲裁に入る


「ユウー!」
「名前で呼ぶんじゃね……っ!!」


振り返った瞬間顔にケーキを投げつけられた


「ほらリナリー、こうすりゃユウでもケーキ食べるさ」
「ちょ…ラビ!」
「このクソ兎!」
「っうわ!」


ケーキをそのまま投げ返してやる


「プッ、アハハハ!神田ケーキまみれですね!」
「笑うなモヤシ!」
「……っ!」


モヤシにも側にあったケーキを投げつける


「もう怒ったさ!」
「やりましたね!」
「テメェ等まとめてブッた斬ってやる!」



そしてケーキの投げつけ合戦みたいな物が始まった………ものの

2分後リナリーに全員叱られた


「私達まで体中クリームまみれだよ」
「まったく、もー…」


名前とリナリーが呆れている


「スミマセン…」
「ごめんさー…」


…ったく、くだらねえ


「……!」
「…神田?」
「……いや、別に何でもねえよ」



気づいたら

震えが止まっていた



それだけだ

こんな馬鹿馬鹿しい事に付きあわされて
それに安心した、なんて…





「……神田、嬉しいの?」


名前が不意に聞いた


「…は!?」
「だって…笑ってる」
「…………」



まったく…くだらねえ





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あきゅろす。
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