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黒白ノ華
第1夜 ーopeningー
エクソシスト…

それは
神に魅入られた者達

彼らは闇より現る
禍禍しきものを
葬るために在る


どんな形であれ

その定めからは逃れられない










「ねぇ、知ってる?この教会で人が何人も消えてるんだって」
「ここ、今は使われてないからお金のない旅人がよく泊まるんだ」
「そして朝になると旅人の姿はなく服だけが残ってる」
「呪われてるんだよだって、ここ2年前にも事故で……………」





仮想19世紀末

そこは 蒸気に紛れ
奇怪な事件が
起こり始めていた





町の路地裏
立ち尽くす少女が1人

「……………」
(なんでこんなトコ来ちゃったんだろ…)

自分でもわからない
どうして人間が沢山いる所にわざわざきたのか

「ハァ…」

今までこんな事なかったのに
自分から人間のいる場所に行くなんて

「……………とりあえず」


寝床探すか














古びた教会の前に佇む女性と少し離れて男性がいる
女性は憂いを帯びた瞳で教会を見つめていた

「モア!ほ、ほんとに入るのか!?」

男性の怯え混じりの声に女性…モアは振り返る

「町の人からこの教会について苦情が殺到してるの!人間が消えただのなんだの」
「知ってる。呪われてんだろ、ここ?」
「チャールズ…それが警官の台詞?」

男性…チャールズの震えた声にモアは呆れたように返す

「どうせ誰かが流したタチの悪いホラよ。調べればわかるわ」

モアはおろしていた髪をまとめ、警官帽をかぶる

「この教会は呪われてなんかない!」
「わ、わかったよ…」

モアの強い声に、チャールズは渋々ながらも了承した


ギィイイィイィ…

教会の古びた扉が軋みながら開いた





「うわ、荒れ果ててるなぁ」
「こんな所にホントに旅人が泊まったりするのかしら」

二人の言葉通り教会は内部も古くなり荒れ果てている

ぎゃあ!!
「何!?」

突如チャールズが悲鳴をあげる

「あ、足に…」

チャールズの足元には…



一匹の猫がいた

「なんだ猫よ」
「え?」

呆れるモアが猫を抱っこする
チャールズは汗を流しつつ、安堵した


ーバササササッ!

教会の奥から何かの羽ばたく音が二人の耳に届いた

「なんの音…」

二人に向かってきたのは大量の蝙蝠

「うわ…わあああっ!!」

…スッ


モアの目に
蝙蝠の大群から赤い…腕が映った

腕はそのままモアに向かい…





バササササ…

蝙蝠の大群がその場を過ぎ去る

「はあっ、はあっ…」

倒れていたチャールズが体を起こす

「だ、大丈夫かモア!?」

そして気づく

「モア!?」

モアが消えている事に





ババババババババババ、バタン!

ドン!

物凄い勢いでモアは赤い腕に掴まれたまま、蝙蝠と共に教会の一室へ押し込まれた
蝙蝠が少しずつ部屋を離れ…

赤い腕の主の姿が現す

「捕まえた。今度こそ逃がさないぞ」
「ゲホッ…」
「え…に、人間!?」

首もとを掴まれていたため咳き込んだモアに腕の主は酷く驚いた

「どうしてこんなトコに…」

ガチン!

モアから離れた腕に手錠がかけられた

「こいつよくも…」
(しかも警官!!)

頭を抑えながら睨みつけるモアに腕の主が怯む

「何者だ!!」
「ご、ごめんなさい。つい夢中で気づかなくて…………」

腕の主が弁解している内に月光が窓から差し込んだ

「!」
「猫を捕まえようとしただけでして」

月明かりによって露わになった腕の主の顔に今度はモアが驚く

「その、ただの…旅人です…」


腕の主は十代の少年だった







ー同時刻

「さっきからうるさいなぁ…」

教会の別室で少女が眠そうに黒髪をかきあげた

「ふあーあ、…少し見に行ってみるか」

少女は立ち上がり、モア達のいる部屋へと向かった






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あきゅろす。
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