黒白ノ華
序夜 ーintroductionー
少女は
自らを《黒》と言う
黒い髪や黒い瞳の事ではなく
己が血にまみれ汚した躯の
紅の血が時を経て黒く染みついた事を指して
少女は様々な呼び方をされた
ある時は[化物]
ある時は[悪魔]
ある時は[忌み子]
ある時は…[シャオ]と
少女にとって《世界》は
少女と親友と義父
その三人ですべて
少女は少女の《世界》を
一つは少女の元から去った
という形で失い
一つは何も出来ずに壊され奪われ
という形で失った
少女に残ったのは
《復讐》
と
《観察》
少女にとって
既に失ってしまった二人以外は
どうでもいい存在
己の邪魔をするならば殺す
関わらないなら素通りする
その二択
少女は
少女の《世界》を奪った《人間》を《観察》する事にした
遠くから
何にも囚われぬ風のように
そして少女は
己とは違う《黒》と出逢う
その出逢いが
少女の空っぽだった世界を
変える
すべてを失った灰色の世界
そこには何も無かった
故に
殻さえ開けば
どんなモノでも入れられる
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