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Moonlit
舞踏会当日6
「ところで、君は踊らないの?」

「うるさいところが苦手で…」
「じゃあ僕と同じだね。こういうの何回も行ったことあるけど、一生慣れない自信あるよ」

「もっと質素にすればいいのにね」
「あ!それ思ってた!一回一回お金かけすぎだよね」
「ゴザと水だけでいいと思う!」

「あはは!それならやらなくてもいいじゃん!」
「確かに!やる必要ないね!」


「こんなに楽しい会話初めてだよ」

そっか…。
周りはみんな王子様ってだけで距離を置くから。
ただ王子は友達が欲しかっただけなんだ。

「私も初め」
「ねぇなんだか中騒がしくない?」

王子が言った通り異様な騒がしさだった。

「確かに。中入ってみようか」
「うん」

中に入ってみると、入り口の周りに人だかりが出来ていた。
なんだろう。
何故か嫌な胸騒ぎがする。
この胸騒ぎを止めたくて、人ごみを掻き分けていくと、そこには……


シンデルラがいた。


王子が走ってシンデルラに近づいていった。
その頬は微かに赤みを帯びていた。

「レディ、お名前は?」
「シンデルラです」

「シンデルラ。私と踊ってくれませんか?」


「喜んで」



人で出来た大きな輪の中で美男美女カップルが踊っている。
レミエル王子とシンデルラのことね。
よくお似合いだこと。

さっきまで王子と馴れ馴れしく話していた自分が恥ずかしくなってきた。
別に比べる必要なんてないのに。

あーなんか惨めになってきた。
二人に断って先に帰ろう。

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あきゅろす。
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