Underdog
7
前髪、OK。寝癖、なし。服、いつも通り。靴、汚れ無し。
「こんなもんかな……」
鏡の前に10秒以上立つなんて、俺にしては珍しい。できれば鏡の精にファッションチェックをお願いしたい気分だ。
今日の集合場所はスタジオだ。といっても、いつものところじゃない。フォトスタジオ。CDのジャケット撮影だ。
「ね……みんな普段着って言ったよな?」
「俺はほら、たまたま昨日美容院言っただけだし」
「ぶらっと服見てたら、安かったから……」
「いつも履いてるやつに穴空いてて、仕方なく、ね」
……裏切られた。ものの見事に。
亮はいかにもキメてきましたって感じの髪型でいつもの服装も3割増に見えるし、ハルはいい感じのジャケットをクールに着こなし、秋栄はゴツくてカッコイイ靴を落ち着いた服装のアクセントに持ってきている。
俺だけが、普段着。
100%普段着。
「……今から買ってくる!」
「無茶言うなよ」
「もう撮影始まるよ」
「ヒロ一人のためにみんなを待たせるなんてわがままだな」
「なんだよその一体感!」
まるで俺一人がいけないみたいな。言葉を真に受けた俺がいけないの?
そうこうしてる間に赤磐さんが現れた。
俺の方を見て苦笑いしたように見えたけど気のせいだと信じよう。
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