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Underdog


「……はい?」

まさかのカミングアウト?

「普段の声も悪くないけど、歌ってるときはあんなに通るんだからな。この間のライブで惚れ直した」

……なんだ、声が好きって言いたかったのか。妙によく喋るから何事かと思ったじゃないか。

「前に歌詞を書いて持ち合っただろ。あれを歌ってほしくて」

そして目の前に置かれる手書きのバンドスコア。
丁寧に書かれた4人用のパート。……分かってるけどさ。

「ヒロの歌詞がすごかったから、引っ込めたけど、やっぱりヒロの声で聞きたい」
「俺のなんてへたれじゃん」
「味のあるへたれだろ」

フォローしてるのかばかにしてるのか、イマイチ判断に迷うところだな……。真顔で言ってるから本心なんだろうけど。


「問題は一つ」
「何?」
「ヒロ、英語苦手でしょ」

……何故それを?

「一応日本人でも発音しやすい言葉ばかりで作った歌だけど、多少練習は必要だろうね」

英語の成績なんて全然話してないのに。

「もし歌ってくれるなら、責任もって英語指導するよ。死ぬほどいやっていうのじゃなければ」
「さすがに、死ぬほどいやではないけど……」

秋栄って意外と熱血キャラ? どうしよう徹夜で特訓とか……。

「じゃあ、良いんだね?」
「いや、でも他のメンバーが何て言うか……」
「今から了承もらうよ」

言うが早く秋栄はケータイを猛然と打ちはじめた。



どうやら男の二言は認めない派らしい。



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