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Underdog

「……CDねぇ……」

本来なら狂喜してもいいくらいの話なんだけど、全然気乗りしない。

とりあえず家に帰ったけど、何をする気力も起きない。ぼーっとしてて気づいたらすっかり夜になっていた。
腹の虫だけが今日も絶好調に鳴いている。


「まずは飯か」

立ち上がって、ポケットからこぼれ落ちていたケータイを拾い上げる。
真っ暗な液晶をしばらく見つめていた。

意を決してアドレス帳を開く。
ただ夕飯に誘うだけだ。真吾が前にそうしたように。

……
…………

「……出ないなー」

留守電設定にされてないらしく、延々とコール音が続く。15回まで数えてみたけど、あまり長いとストーカーみたいだからあきらめた。

そりゃそうだよな。別れの挨拶もしないで離れていった相手の電話に、そうホイホイと出るわけがない。




駅前にある牛丼屋でご飯を済ませ、コンビニで立ち読みする。漫画読むのもなんか久しぶりだ。この間までひたすら練習の日々だったからな。

尻が震えた。――いや、着信だ。

『今から時間ある?』

秋栄からだった。



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