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Underdog
10

ただの水まで青い瓶に入ってる。このオシャレさんめ。

瓶をベランダのすぐそばの床に置く。もう一度立ち上がったハルは、なぜか部屋の明かりを消してしまった。

「おいっ、真っ暗だろ。何の儀式始めるんだよ」
「……カーテン」

命令されるのはムカつくけど、暗いのはヤだ。仕方なくカーテンを両手で押し開いた。
口元まで出かかっていた文句が引っ込んだ。

振り返ると、ハルはニヤニヤ笑っている。

「窓からちょうどタワーが見えんだ。良いだろ」
「これ見ながら水飲むのかよ」
「介抱するやつが、いないからな」

フローリングにあぐらをかいて座る。ひんやりとした感触が、酒でほてった体にちょうど良い。
ハルは水をガラスのコップに注ぐと、少し離れたところに座った。

部屋の明かりがないと、外のネオンが際立つ。青い瓶が作る青い影が小さくさざ波を立てている。

心地好い疲労感が体にすうっと満ちていく。ずっと緊張してたんだな……。
ようやくリラックス出来たのがこの場所っていうのがちょっと気に食わないけど……まぁ、いいか。

無言の時間が流れる。別に気まずいわけじゃない。何か話したって良いんだけど。たいしたこと言えないし。
コップに口をつけた。ただの水のくせに、程よく冷えていてたまらない。ビールの最初の一口にも匹敵するおいしさだ。


まぁ、このままでもいいか。


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あきゅろす。
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