Underdog
8
ハルはなぜかタクトさんを睨みつけるようにしている。さては飲み過ぎだな。例の手負いの獣モードが発動しちゃってるんだろう。
「ちょっとこいつ変に酔ってるみたいで……、冷やしてきます」
涼しいところにでも連れていっておけば、勝手に回復してくれるだろう。
目つきの悪い酔っ払いをひっばり、店員さんに詫びつつ一旦表に出た。
やっぱり風が気持ちいいなぁ。ハルは大丈夫かな、と振り返ると、
「お前は、にぶすぎる」
「はい?」
ビシッと指さされた。酒臭いしタバコ臭い。
「もう少し自分の身の心配しとけ」
「意味わかんないし……」
というか、今の言葉そっくりそのまま返したいぞ。それだけ酔っ払って、何やらかしても知らないからな。
ハルはいつもよりきつく眉間にシワを寄せている。多分これがこいつが絶好調であることの証なんだろう。……と思ったけど、よく見ると顔色が悪くないか。
「もしかして気持ち悪くなってる?」
「……」
ハルは無言で頷いた。マジかよ。
「少し休む?」
「いや……今日は、帰る」
本格的に参ってるらしい。
俺は店に舞い戻ると、みんなに平謝りして二人分の荷物を回収した。タクトさんがやたら残念そうにしていたから、とりあえずアドレス交換だけして店を出た。
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