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Underdog


「なんで来ないんだよ……っ」

ケータイも繋がらない。赤磐さんが見に行ってくれてるはずだけど、そっちからもなんの連絡もない。
外もそろそろ暮れ始めている。

「落ち着な、ヒロ」
「秋栄はなんでお茶とか飲んでられるんだよ!」

俺だけが馬鹿みたいに部屋をうろうろしている。
亮はイヤホン付けてイメトレに没頭している。真吾を信頼してるのかもしれないし、単に現実逃避かもしれない。

「……ちょっと見てくる!」



控室にいられなくて外に出た。
ちらほらとお客さんが来ては建物へと吸い込まれていく。
でも、見慣れた影はない。

タクトさんの冷ややかな視線を思い出す。赤磐さんの脅し文句がそれに重なる。
わけもわからずひたすら練習して、結果がこれか。


「俺、は……」

なにやってんだろう。

禁断の疑問が口元まで出かけた。
ちょうどその時だった。

夕日をバックに、ギターケースを背負った影がこちらに向かってるのが見えたのは。




そいつは、いつも通りどこか不機嫌そうな顔で、俺を見ると一瞬だけ眉を上げた。

「ハル……なんで……」
「あのタコからメールもらったんだよ。腹痛で行けないって」
「なんでハルだけにメールがいくんだよ」「俺が知るかよ」

俺のすぐ前で足を止めた。見上げないと表情がわからない距離だ。

「……バンドの状況はだいたい分かってる。曲順も」
「え?」
「練習を録音したファイルを、馬鹿丁寧に毎回送り付けてきやがったからな。……たがら」

ハルは一拍置いて、ぶっきらぼうに言った。

「あいつのパートなら俺が代わりにやれる」

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あきゅろす。
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