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Underdog
13

「ハル、良いのか……?」
「うるせぇな」

ギターをケースにしまい、ハルはそのままスタジオを出て行ってしまった。
追いかけようと体が動いていた俺に、真吾は優しく諭す。

「やめとき。アイツは自分で結論を出したんや」
「でもアイツもメンバーだろ!
「分からんヤツやな。アイツのプライドに傷付けるんか?」
「……そっか、そうたよな」

ハルの練習を見てきたから、客観的に見れてないだけかもしれない。
真吾の方が安定してるし、協調性もある。
どっちが良いか、みんな分かってるのに、俺だけが勝手な理由で納得できないでいる。

赤いギターの代わりに、真吾のレスポールが右隣りにきた。
俺は真吾がどうやってこの曲を作ったかも知ってる。まるで頑固な職人みたいに部屋にこもって、真摯に音楽と向かい合っていた。思い入れも人一倍あるはずだ。

俺が何か言えるような問題じゃないんだよな。

「――よし、やるか」



それから俺たちは、何かを頭から追い出すように必死に練習に打ち込んだ。

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