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Underdog


苦手なピッキングか……。

そういえば亮も似たようなこと言ってたな。
俺にしても、限界ギリギリの高音がサビの一番良いところに出てくる。
やっぱりわざとそうしてんのかな……?
でもなんのために?

「最初から気に入らなかったんだ。遅れてきたクセに偉そうにしやがって」

小学生の悪口か、君は。

「アウェーで勝つ方が気持ちいいからな」

すっかり打倒真吾に燃え上がっている。

「目的は忘れんなよ」
「何だよ目的って」
「ライブを成功させることだよ」

俺としては軽口のつもりだった。
が、ハルは虚を突かれたといった表情でまじまじと俺を見た。

「まさか、本気で忘れてた?」
「……」

今度は目を逸らした。
意外とわかりやすいヤツ。


「……何やってんだか、俺」

どこかで聞いたような溜め息だ。


「やりたいことやってるだけだよ、俺達は」

俺は、どちらかというと自分に言い聞かせるように、答えを呟いた。


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